リスクに対する姿勢

執筆 ロッシェル・カップ

世界を相手にビジネスを行うためには、英語力だけでなく、多様な文化を受け入れるためのグローバルマインドセット、つまり視野の広いもののとらえ方が必要となります。本コラムでは、経営コンサルタントのロッシェル・カップさんにグローバルマインドセット獲得のヒントを教えていただきます。

第6回 リスクに対する姿勢

イライラの原因は?

あるアメリカ人のコンサルタントが、あなたの会社とビジネスをしています。仕事についてどう思うか彼の意見を聞いたところ、「イライラして精神的に参っている」との答えが返ってきました。「日本人は動くのがとても遅い! だから決断に時間がかかり過ぎる。そのうえ、いつもたくさんの質問をしてきて追加情報を求めてくる。僕はこのやり方になじめないよ」。

このようなコメントを聞いたとき、あなたならどのように反応しますか?

a)
彼はおそらく不平家なので、彼の文句についてあまり深く考えない
b)
自分の会社における情報ニーズと意思決定のプロセスを彼に丁寧に説明する
c)
アメリカの会社だったらどのような進め方をするのか、彼に尋ねてみる

アメリカ人から上記のようなコメントを聞いたら、a) のように相手は不満を言っていると判断し、その原因についてあまり考えない日本人が多いかもしれません。しかし実は、日本企業を相手に仕事をしている外国人の間には、こういった悩みが多いのが事実です(このコンサルタントの言葉の選び方がいささかきついのは別として)。

リスクを避けるために動きが遅くなる

その背景には、「リスクに対する姿勢」の文化的な違いがあります。このチャートの左の方の文化の人は、リスクや間違いを避けたがります。そのため、物事を進めるに際も慎重かつ保守的です。最善策を選択するために、前もって情報をたくさん集め、それを分析し、さらにそれを話し合うことを好みます。そういったことを実施するには、時間がかなりかかるので、リスクを避けたい文化の組織は動きがあまり早くないのが特徴です。なお、事前調査やディスカッションが十分にできないと満足がいく決断をできないと感じ、前に進めないこともあります。これも動きを遅くしてしまいます。

対照的に右側の文化の人は、リスクを冒すことに抵抗がなく、失敗することを厭(いと)わない傾向があります。「失敗は成功のもと」と思っているからです。そのため、事前の情報収集や分析をあまりしなくても素早く行動できます。綿密に計画するより、試行錯誤、実験的な進め方を好みます。

日本はかなり左の方に位置していますが、海外の多くの文化は、より右側に位置しています。例えば、移民と開拓者から成り立っているアメリカやオーストラリア、海を航海するバイキングを祖先とするスウェーデンやデンマークなどが、右の文化の典型です。

こういった違いは、価値観や仕事のやり方の根本を成しているので、自分と正反対の位置の文化的背景をもつ相手に対し、疑問、不満、いら立ちを感じることは多いでしょう。しかし、相手のやり方は文化的相違を反映していることを認識し、うまく対応することが必要です。例えばこのケースで、b) を選ぶのは、アメリカ人のコンサルタントの不満の原因を解明することができるため、良い選択です。日本の会社はどんな情報を必要としているのか、その情報をどんな形でまとめたらいいのか、そしてどんな過程で意思決定のプロセスが進むのかについて説明することで、相手も自分の不満の原因となる文化的違いを理解できるはずです。またc)のように、アメリカの会社やり方について教えてもらうことは非常に参考になるでしょう。文化の違いについて学べば学ぶほど、ビジネスにおいても役立つ発見も多いはずです。



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