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スペシャリスト文化とジェネラリスト文化

執筆 ロッシェル・カップ

世界を相手にビジネスを行うためには、英語力だけでなく、多様な文化を受け入れるためのグローバルマインドセット、つまり視野の広いもののとらえ方が必要となります。本コラムでは、経営コンサルタントのロッシェル・カップさんにグローバルマインドセット獲得のヒントを教えていただきます。

第8回 スペシャリスト文化とジェネラリスト文化

役割の明確度を考える

ある日本企業には、日本人とアメリカ人が共同で仕事をしている開発チームがあります。日本側のスタッフから見ると、アメリカ人は自分の仕事の領域しか見ようとせず、全体像を十分に考慮していないようです。そのような場合、日本側はどのような対策をとればよいでしょうか?

a)
この問題についてアメリカ人に文句を言って、改善するように要求する
b)
これがアメリカ人の働き方だと諦めて、彼らにはスペシャリスト的な仕事だけを依頼し、全体的な把握が必要な仕事は日本人だけに任せる
c)
アメリカ人の働き方の良いところを認めながら、全体像の把握を推進するための訓練や活動を実施する

アメリカ人に対してこういった悩みを持っている日本人は少なくありません。実際、これは私がアメリカに進出している日本企業のコンサルティングをする際、頻繁に耳にする言葉です。多くの場合、日本企業はb)を選択します。それはある意味論理的かもしれませんが、好ましくない点が幾つかあります。まず一つは、アメリカ人の欠点と思われることについて本人に何も指摘しない点――言われなければ何も改善できないからです。また、アメリカ人にスペシャリスト的な仕事だけを頼んで、全体把握が必要なものを日本人だけに委託するのは差別的だと言えます。それではアメリカ人に十分な機会を与えられないし、アメリカ人のスキルを最大限に生かすことができません。そのような環境では、優秀なアメリカ人はあまりやりがいを感じることができず、流出してしまう恐れがあります。

しかし、b)とは反対に欠点を直接指摘するa)もあまり推薦できません。アメリカ人は自分の分野にフォーカスして、それを完璧にカバーすることが美徳だと思っているので、それを批判されてもなぜだか分からず混乱するだけでしょう。

両者の特徴を考慮した対応が重要

この問題をより深く理解するために、その背景にある文化的な違いを考えてみましょう。上記のチャートを参照してください。これは、働いているチームにおける「役割の明確度」を示しています。左側の文化の人は、明確な職務内容の説明を要求します。そして自分の責任範囲以外の仕事をすることに抵抗を持っています。また、誰もがスペシャリストであるべきだと思っています。対象的に、右側の文化の人は、必要であればどんな仕事でもするという姿勢を持っています。誰もがジェネラリストであるべきだと思っています。また、自分が担当している仕事だけではなくて、全体像の把握も大事だと感じています。

このチャートで見られるように、アメリカは典型的な「明確な役割を好む」文化で、一方日本は「あいまいな役割を好む」文化です。どちらの文化の方が優れているという訳ではなく、両方に異なる長所と短所があります。スペシャリスト的なアプローチだと、ある特定の分野を深く理解し、自分の領域をしっかりカバーするという長所があります。しかし、他の人がやっていることに十分注意を払わず、自分の分野の詳細にばかり気を取られてしまう恐れがあります。一方、ジェネラリスト的アプローチでは、他の人と上手くコーディネートしながら働くので、調和と柔軟性のあるグループになるという長所があります。しかし、誰が何を担当するのかが不明確になりがちで、深い専門知識を持つ人があまり育たないという短所もあります。

このように文化によって「役割の明確度」が違うこと、そしてそれぞれのアプローチに長所と短所があることを考えると、上記のケースで最も適切な答えがc)だと分かるでしょう。まずはアメリカ人の仕事のやり方の良いところを把握し、十分に評価する必要があります。そして、全体像にもっと気を配るように奨励すれば良いのです。その両方を同時に進めることで、バランスよく一緒に改善していくことができます。



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