権力の構造

執筆 ロッシェル・カップ

世界を相手にビジネスを行うためには、英語力だけでなく、多様な文化を受け入れるためのグローバルマインドセット、つまり視野の広いもののとらえ方が必要となります。本コラムでは、経営コンサルタントのロッシェル・カップさんにグローバルマインドセット獲得のヒントを教えていただきます。

第10回 権力の構造

地位をどれほど意識するのか

あなたにはオランダ人の部下がいます。彼に仕事を依頼したところ、「この仕事をやらなければならないのはなぜですか?」と尋ねてきました。あなたはどのような反応をするでしょうか?

a)
部下の質問は失礼で生意気だと感じる
b)
部下の質問に格別驚かず、普通に答える
c)
今後、この部下に依頼する時は、もっと詳しい背景情報を提供するように努力する

多くの日本人マネージャーはa)のように反応します。なぜかというと、日本では下の方の地位の者(部下やサプライヤー)は、自分より地位が高い人物(上司や顧客)の言うことを素直に聞き入れるべきだと思われているからです。上司からの依頼に対し部下は反論せずに従うのが当たり前、という暗黙の期待があります。そのため、依頼した部下から上記のケースのような根本を疑うように見える質問が返ってくると、それを生意気と感じることが多いようです。

そのような考え方は、日本の強い縦社会意識に由来していると思われます。しかし、日本以外の文化でもそのような考え方が共有されているとは限りません。下記のチャートを見てみましょう。

左の方の文化では平等が強く重んじられていて、誰もが同じように扱われるべきだと考えられています。そのため職場では、地位の違いが強調されません。例えば、会社のトップも一般社員も同じようなデスクやロッカーを使ったり、地位に関係なく皆がお互いをファーストネームで呼び合ったりします。

一方、右の方の文化では、縦社会の意識が強く見られます。地位によって扱われ方に差異があるのは当然だと思われています。そのため、地位を示すもの(例えば肩書き)に注意を払っています。自分より地位が高い人と接するときは特に、マナーや言葉遣いに気を付けます。

権力に対する考え方のギャップは大きい

日本は右側に位置します。実は世界の文化のほとんどが右よりで、左の方の文化はごく少数です。その一方、両極端のギャップは非常に大きいです。

このケースのオランダは、典型的な左側の文化です。オランダ人は、上司との地位の違いをあまり意識せず、上司に対して反対意見や質問を自由に話してよいと考える傾向があります。このケースのように、相手が左側の文化的背景を持つ場合、適切な対応はb)とc)の両方です。平等が重視される文化の人が望むのは、一方的に言われることではなく、パートナーとして対等に扱われることです。依頼した理由や背景などの詳しい情報を提供することによって、相手と良いパートナーシップを築くことができます。そうすれば、仕事もスムーズに進むはずです。



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