任務遂行と人間関係

執筆 ロッシェル・カップ

世界を相手にビジネスを行うためには、英語力だけでなく、多様な文化を受け入れるためのグローバルマインドセット、つまり視野の広いもののとらえ方が必要となります。本コラムでは、経営コンサルタントのロッシェル・カップさんにグローバルマインドセット獲得のヒントを教えていただきます。

第11回 任務遂行と人間関係

職場における人間関係の捉え方

あなたは英国の製薬会社に一時的に出向している研究者です。イギリスでの仕事は、予想以上に寂しく感じられます。皆、親切ではありますが、日本のような和気あいあいとした雰囲気ではありません。机と机が壁で仕切られたボックス型のオフィスで、仕事中は他の人が見えないし、気軽に声を掛けられません。昼食の時間になると、皆別々に外に食べにいくか、それぞれ自分の机で食べています。仕事が終わるとすぐに帰宅するので、一緒に飲んだり話したりといった、日本のアフターファイブのような活動は全くありません。どうしたらこの職場で、皆とうまくやっていくことができるでしょうか?

a)
自分はおそらく周囲の人から嫌われているのだろうという結論に達する
b)
イギリス人はフレンドリーではないのが普通だからと諦める
c)
職場の人たちと仲良くなれるように自分から努力をするが、日本の職場のようにはならないことを理解する

多くの日本人は、こういった状況でa)のような行動を取ります。ようするに、周囲から暖かい雰囲気を感じられないことを個人的な問題と捉えて、自分は嫌われているのではないか、自分だけ社交活動から疎外されているのではないか、と決め込んでしまいます。しかし、このようなケースでは、文化の違いが原因であることがほとんどです。職場における「人間関係重視」の度合いは、文化によって異なるからです。

下記のチャートをご覧ください。左の方にある文化は、任務遂行中心だと言えます。そのような文化では、社交的な活動や対人関係よりも、仕事を終わらせることに重点を置きます。任務を遂行することから最大の満足感を得ます。ビジネスの場での世間話、接待、アフターファイブの付き合い、いわゆる「ノミニケーション」などはあまりありません。対照的に右の方に位置する文化では、仕事における人間関係が最も重視されています 。そのためビジネスにおいて、世間話や社交活動にたくさんの時間を使います。人間関係の構築と維持のための活動が優先される傾向があります。周囲の人との交流や好意的な関係の構築から、一番の満足感を得ます。

相手の文化に合わせた適切な対応を考える

興味深いことに、日本はこのチャートにおいてちょうど真ん中に位置しています。アフターファイブの活動が活発な日本は、人間関係重視型だと思われがちですが、実は、中近東、南アメリカ、東南アジアの国ほどではないのです。しかし欧米諸国に比べると、かなり人間関係に重点が置かれています。ここで重要なのは、相手の国や文化によって、適切または効果的な対応の仕方が異なるということです。例えば、相手が日本より右にある文化的背景を持っている場合、人間関係構築のための活動に力を入れて時間を費やすことが、ビジネスを円滑に進める上で役立ちます。

このケースのように、相手が自国よりも左にある文化の場合は、どう対応すればよいのでしょうか。b)という選択肢は、相手の文化的特徴を受け入れているという面では良いのですが、状況の改善にはつながりません。最も適切なのはc)になります。相手をもっと知りたかったら、自分の方から積極的に食事に誘ったり招待したりすればよいでしょう――相手からの誘いを期待してはなりません。例えば、お弁当を一緒に食べたり、ランチを一緒に食べに行ったりすることを提案する、などです。相手は仕事で忙しい場合は断るかもしれませんが、それを個人的な問題と受け取ってはなりません。自分が社交的な活動にオープンであることを示せば、相手もそれに応じるかもしれません。日本の職場のようになることは期待できませんが、自分から積極的に人間関係を構築する努力することで、良い結果につながるはずです。



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