変化に対する態度

執筆 ロッシェル・カップ

世界を相手にビジネスを行うためには、英語力だけでなく、多様な文化を受け入れるためのグローバルマインドセット、つまり視野の広いもののとらえ方が必要となります。本コラムでは、経営コンサルタントのロッシェル・カップさんにグローバルマインドセット獲得のヒントを教えていただきます。

第12回 変化に対する態度

変化を好む文化と好まない文化

現在、会社のハンガリーの工場に赴任中のあなたは、現地採用の部下に対してとてもいら立っています。「部下は常に同じことをやり続けているだけでOKだと思っているように見える。違った方法を導入して、絶えず改善していく必要性を分っていない」。

このような状況では、どのように対応するのが最も適切でしょうか?

a)
その部下は教育レベルや能力が低いので改善活動は無理だと決めつけ、諦める
b)
自分が率先して改善を図り、その方法に部下を従わせる
c)
「改善」がなぜ大切なのかを説明し、改善の方法(QCサークル、問題分析方法など)を部下に教える

こういった状況で、多くの日本人はa) を選びます。異文化の相手が自分とは違っている場合、相手に対して否定的なレッテルを貼りがちです。つまり、「日本人のように改善をしないから、日本人よりもレベルが低い」などと決めつけてしまうのです。また、その部下は改善ができないと判断し、代わりに自分で改善活動を計画し、それを実行することをハンガリー人の部下に一方的に強要するというb)の選択肢も、似たようなものです。しかしそのような行動を取ると、現地採用者の間で参加意識が生まれず、モチベーションの低下に繋がってしまいます。

「改善しようとしない」ハンガリー人部下の行動の背景には、何があるのでしょうか? その鍵となるのは、「変化に対する態度」かも知れません。下記の表で左側に位置する文化ほど、伝統を大切にし、現状維持を好む傾向があります。「壊れていないものを直す必要はない」と考えますので、やり方を改善して変えるよりも、従来のやり方に沿った方が良いと感じています。過去を模範として捉え、迅速な変化は好みません。

一方、右側の文化は、進歩と新規性を重視します。つまり、新しい方が良いと思っています。 過去よりも将来に目を向け、迅速な変化を好みます。

変化のスピードという問題

このスケールで、日本はちょうど真ん中に位置します。急激な変化は好みませんが、持続的で着実な変化を歓迎します(「改善」という概念を生み出した文化ですから)。日本人にとって改善が望ましいのは当たり前のことですが、右側の文化の人にとっては、それでは変化のスピードが遅過ぎるかもしれません。反対に左側の文化の人は、改善の必要性を感じないかもしれません。ハンガリーは左側にある文化なので、おそらくこのケースのハンガリー人従業員は、改善を求める上司の態度に戸惑っているはずです。「すでに素晴らしい品質なのに、なぜ変化が必要なのだろうか?」と思っているかもしれません。

このケースのような状況で、最も適切な対策はc)です。ハンガリー人部下は今までに、改善という概念に出会ったことがないかもしれませんし、そのような方法になじみがないかもしれません。しかし、それがなぜ求められるかを論理的に説明すれば、身に付けて実行しようと努力してくれるかもしれません。ぜひトライしたいことです。



ビジネスで成功するための グローバルマインド養成講座 トップへ


  • アルコムワールドで日記を書く

メルマガ登録