時間に対する考え方

執筆 ロッシェル・カップ

世界を相手にビジネスを行うためには、英語力だけでなく、多様な文化を受け入れるためのグローバルマインドセット、つまり視野の広いもののとらえ方が必要となります。本コラムでは、経営コンサルタントのロッシェル・カップさんにグローバルマインドセット獲得のヒントを教えていただきます。

第15回 時間に対する考え方

「会合への遅刻」の捉え方

メキシコを訪問中のあなたは、これから一緒に仕事をするかもしれない相手と10時に会う約束をしていました。しかし、既に10時45分を回ったというのに一向に相手は現れず、あなたは事務所のロビーで待ち続けています。相手は前の会合がまだ終わっていないようです。もう少し待ってみるか、それとももう帰るか、あなたは迷っているところです。こんなに待たせるなんて、自分と話す予定の要件について真剣に取り組むつもりがないのではないか、と考え始めています。

このような状況に遭遇した場合、あなたならどのように対応しますか?

a)
すでに十分待ったのだから、さらに待たずに帰る
b)
メキシコ文化ではこういったことはよくあるので、あまり深く考えずに相手を待つ
c)
待つことは待つが、今回のことで相手に対する評価が下がったので、これから一緒に仕事をする意欲をなくしてしまう

多くの日本人は、a) かc)を選ぶと思われます。日本では、約束のスケジュールをきっちり守ることは、ビジネスにおける基本中の基本のルールと言えるでしょう。約束の時間を守らないことは失礼にあたることで、きちんとしたビジネスパーソンであればそのようなことはないはずだと考えられています。そのため、特にビジネス関係の最初の段階でこのようなことが起こったら、日本人にとってそれは相手に対する否定的な信号と写ります。

しかし、日本的尺度で相手を測るのではなく、相手の文化の尺度で測ったらどうでしょうか。このような場合、文化の違いの影響を考えることが非常に重要です。

「文化の壁」を理解した上で判断する

上のチャートで左側の文化ほど、時間は貴重で無駄にしてはいけないものだと考えます。そして時間を守らないことは、相手の時間も自分の時間も無駄にすることなので、良くないことだと考えます。早さ、効率、便利さ、時間管理を評価し、時間の節約を優先させます。

一方、右側の文化は、「時間は十分にあるもの」だと考えます。物事を正しく行うためには時間を十分に費やす必要がある、と思っています。何事も急ぐ必要はないと考え、時間の節約に対しても優先順位が高くありません。

右側の文化の人の行動は、左側の文化の人にとっていら立ちの種になりがちです。今回のケースは、左側に位置する日本人と右側のメキシコ(ラテンアメリカに含まれます)の人の典型的な「文化の壁」の例です。時間は十分にあると考える文化の人からすれば、45分はそんなに長い時間ではありません。その上、会議に遅れて来ることも(例えば交通渋滞があれば)想定内です。また、前の会議で話が起動に乗っていた場合、それを切り上げて次の会議に行くことは失礼だと思われる可能性があります。

相手の文化的背景を理解したら、相手の行動の理由も分かるはずです。もちろんこのケースのように、自分の文化の価値観からすると「あり得ない」場合もあるかもしれません。しかし大切なのは、相手の行動をその文化的背景の中で理解し、客観的に判断することです。



ビジネスで成功するための グローバルマインド養成講座 トップへ


  • アルコムワールドで日記を書く

メルマガ登録