過程をどの程度重視するか

執筆 ロッシェル・カップ

世界を相手にビジネスを行うためには、英語力だけでなく、多様な文化を受け入れるためのグローバルマインドセット、つまり視野の広いもののとらえ方が必要となります。本コラムでは、経営コンサルタントのロッシェル・カップさんにグローバルマインドセット獲得のヒントを教えていただきます。

第16回 過程をどの程度重視するか

結果重視の相手との摩擦

あなたは日系企業のイギリス拠点に駐在しているマネージャーです。あるイギリス人の部下にプレゼンテーションの資料の作成を依頼したところ、彼が提出してきたものは、文書のフォーマットや内容など、親会社が好んでいるスタイルとマッチしないため、数回にわたって訂正を要請しましたが、まだ満足できる出来ではありません。しかしあなたの部下は 、依頼された訂正はマージンやフォントなど書類のフォーマットだけの問題だと思っているようです。彼は、幾度にもわたる訂正に時間をかけることにフラストレーションを感じていると言いました。そのような部下に対して、どのように対応すればよいでしょうか?

a)
この部下は忍耐力がないし、仕事の出来もいまひとつなので、部下の評価を下げる
b)
何故そのように訂正することが重要なのかを具体的に説明する
c)
今後は希望しているフォーマットを事前に説明し、見本を見せるようにする

日本では、プロジェクトが進行中であるとき、マネージャーと部下が頻繁にやり取りするのはごく普通のことです。また、内容ではなくフォーマットなどの形式的な細かいところに対して上司が指摘をすることも、当たり前とされています。そのため、指摘に対して部下が文句を言ってくると、日本人の上司は驚きます。その部下に何か問題があるに違いないと考えるかもしれません。そのため、日本人のマネージャーは、上記のa)のような対応をすることがほとんどでしょう。

しかし、イギリス人部下の行動の背景には、文化的な違いがあるのです。なぜなら、文化は仕事の進め方に大きく影響するからです。下記のチャートを見てみましょう。

結果重視の相手を説得するためには

左の方にある文化ほど、過程を大事にします。過程は最終的な結果と同じくらい大切だと思われています。そのため、結果を達成するための手順を理解しようと努力し、それに従おうとします。物事には、「適切」または「正しい」やり方が必ずあるはずだと思っています。そして決まったやり方に従うのが重要だと感じています。

一方、右の方に位置する文化ほど、過程を重視しない文化だといえます。目標さえ達成すれば、それに至るまでの過程はどうでもいいと思っています。要は、結果主義なのです。そのためプロジェクトに携わるときは、皆それぞれが自分の方法で行えば良いと思っています。決まったやり方に従うことにはあまり意味がないと考えます。

イギリスは右側の結果重視の文化ですが、日本は左側の過程重視の文化です。過程重視の文化では、上記の例のマネージャーのように、一見表面的とも思えるような部分(例えば形式や装飾)にたくさんの時間を費やすことは珍しくありません。しかし、結果重視の文化であるイギリスの人からすれば、それは全く意味のない無駄なことのように思えるかもしれません。

このような問題の対策としては、b) とc)をお勧めします 。依頼している訂正がなぜ必要なのか、そしてそれがなぜ最終結果に影響するのかを明確に説明すれば、結果重視の相手を説得できるはずです。さらに、自分が期待しているプレゼン資料の見本を事前に示せば、部下はあなたが何を求めているのかを理解することができるので、「どのようにすればよいか分からない」というフラストレーションを避けることができます。同じ組織の中で働いてきた日本人は、何が良いプレゼンなのかを感覚的に理解しているかもしれませんが、外国人は必ずしもそうではありません。そのため、相手にあらかじめ具体的な例を示すことが効果的なのです。



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