会議におけるフォーマル度

執筆 ロッシェル・カップ

世界を相手にビジネスを行うためには、英語力だけでなく、多様な文化を受け入れるためのグローバルマインドセット、つまり視野の広いもののとらえ方が必要となります。本コラムでは、経営コンサルタントのロッシェル・カップさんにグローバルマインドセット獲得のヒントを教えていただきます。

第17回 会議におけるフォーマル度

会議スタイルの決まりに対する不満

あなたはオーストラリアにある日系企業の駐在員です。最近、あるオーストラリア人がシニアマネージャーとして入社し、あなたの部下になりました。あなたの会社では、幹部チームの会議は非常にフォーマルで、席も決められています。通常、事前に決定された項目以外の話はされません。オーストラリア人部下とともに幹部チームの会議に参加したところ、彼は会議のスタイルにいら立ちを感じたようで、 あなたに文句を言ってきました。「われわれはやらなければならないことが山積みだ。誰がどこに座るか、というような些細(ささい)なことで時間を無駄にできない」。彼の不満に対して、どのように対応すれば良いでしょうか?

a)
日本の文化では会議がなぜフォーマルであるかを説明する
b)
会議がそれほどフォーマルである必要があるかどうか、もう一度検討する姿勢を示す
c)
会議をもっと効率的にするための方法を提案するよう彼に依頼する

日本企業では会議がフォーマルなのは普通のことです。幹部チームの会議なら、なおさらフォーマルであることが期待されます。そのため日本人からすると、部下のこのような文句は予想外かもしれません。オーストラリア人の部下がなぜいら立ちを感じたかを理解するためには、文化的背景の違いを考える必要があります。

目的達成とフォーマル度

上記のチャートで見られるように、フォーマル度に関して文化間の違いが見られます。左側の文化に属する人は、適切なエチケットと礼儀をわきまえることが重要であると思っています。それがないと居心地悪く感じます。また、儀式的な慣行を好みます。日本はそういった国の一つなので、前出のケースのようなフォーマル度の高い会議の慣行は珍しくありません。

一方、右側にある文化ほど、よりカジュアルな雰囲気を好みます。エチケットや決まった手順は重要ではないと思っています。リラックスした雰囲気を重視し、儀式的慣行は不必要と感じます。こういった文化に属する人は、形式的なことより、実際にしようとしていること(ビジネスの目標など)に重点を置いた方がいい、というプラクティカルな考え方を持っています。こういった考え方が、オーストラリア人の不満の根底にあるのです。ようするに、ただ文句を言いたかったわけではなく、フォーマルな行動が効率的ではなく、目標達成を妨げているのではないかという疑問を持っていたから文句を言ったのです。

このような文化的背景を踏まえると、上記の3つの選択肢の中でどれが最も適切でしょうか? 私は、3つともすべて行うのが最適だと思います。まず、a)のように、オーストラリア人マネージャーになぜその会議習慣が日本人にとって重要なのか、説明する必要があります。日本人はそのような習慣を何の理由もなしで行っている訳ではなく、それを心地よく感じていることをオーストラリア人は(理解できなくても)知っておいた方がよいでしょう。その一方、b)のようにオーストラリ人の意見にも耳を傾け、日本で使われている会議慣行が本当にすべて必要かどうかを再考するのは良いことかもしれません。そしてc)のように彼に提案を求めれば、 良いアイデアが生まれるかもしれないし、彼の態度をより建設的に変えられるでしょう。彼に「日本人のフォーマル好きとオーストラリア人のフォーマル嫌いのギャップを埋める対策を考えてください」というふうに依頼すれば、彼の思考力を刺激できるはずです。



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