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ビジネスにおける個人の責任と外的要因

執筆 ロッシェル・カップ

世界を相手にビジネスを行うためには、英語力だけでなく、多様な文化を受け入れるためのグローバルマインドセット、つまり視野の広いもののとらえ方が必要となります。本コラムでは、経営コンサルタントのロッシェル・カップさんにグローバルマインドセット獲得のヒントを教えていただきます。

第19回 ビジネスにおける個人の責任と外的要因

業績低迷の原因はどちら?

あなたは、ある在アルゼンチンの日系企業で社長を務めています。最近の売上が不調であったため、あなたはアルゼンチン人セールスマネージャーを呼び出して、その原因を尋ねました。セールスマネージャーは、工場からの入荷が遅かったこと、日本の本社が作ったデザインが自分たちスタッフのアイディアを反映していなかったこと、そして他社との厳しい価格競争があったことを理由に挙げました。売上が悪かったことについて謝る様子もなく、事態を改善するために自分が何をできたかについて、説明することもありませんでした。あなたはどのように対応すればよいでしょうか。

a)
彼は言い訳ばかりしているので、懲罰を与えるか解雇する
b)
一般的にアルゼンチン人は責任感がないと判断し、仕方がないと諦める
c)
彼が挙げた障壁について、対策を考えることを奨励する

この場合、多くの日本人はa) かb)を選ぶでしょう。日本人は個人責任の感覚が強く、何かうまくいかないことがあると、自分のどこが至らなかったのかすぐに考える傾向があります。他の人や周囲の環境のせいにするのではなく、深く反省して、今後自分がもっと頑張るべきことについて考察します。上記のケースのような場合、まず自分の努力不足を謝り、反省点を述べることが一般的なので、このアルゼンチン人セールスマネージャーが示したような態度は日本では期待されていません。そのため、日本人はこのような態度を目の当たりにすると、怒るかがっかりするかのどちらかの反応が多いのです。

しかしながら、このアルゼンチン人セールスマネージャーの態度は、文化的背景を反映しているものなのです。彼の態度に影響している価値観について考えてみましょう。

うまくいかないことを好転させるには

左の方の文化に属する人ほど、個人が環境を左右すると信じています。つまり、出来事に対する責任は個人にあり、仕事を完遂するために必要なことは何でもしなければならない、と思っています。また、十分に努力さえすればどんな障壁でも乗り越えられると信じています。一方、右側の文化に属する人ほど、環境が個人を左右すると信じています。個人や人間の力を越えた力、例えば環境、運命、因緑、神様が、物事を左右していると思っています。周囲の環境の力が自分の力を上回っているので、個人にできることは限られていると感じています。

このチャートでは、日本は左側に書かれています。自分が属しているグループ(会社、学校、チーム、家族、など)に対して何かの責任や約束があったとき、あるいは自分のグループが他のグループに対して約束があったとき、何があってもそれを守るように必死に努力します。その逆に、日本人は個人的な側面として、社会などの期待や事情に負けて、「仕方がない」と考えるような右側的な側面があります。複雑な現象ですが、今回は日本の左側的な側面に焦点を当てて分析しましょう。

日本はかなり左側の文化であるのに対し、アルゼンチンはかなり右側の文化なので、両文化の間にはかなりのギャップがあります。このギャップこそが、上記のケースに影響していると言えます。

チャートの右寄りの文化では、環境の力が個人の力を常に上回っていると考えられているので、何かがうまく行かない時はまず自分以外の原因を考える傾向があります。これは意図的に責任を回避しているのではなく、無意識での判断です。そのため、「言い訳をしている」や「責任感がない」といった、左側の文化的価値観に基づいたレッテルを貼るのは適切でないばかりか、効果的でもありません。そういった場合は、左側の文化的思考とそのメリットを相手に教えるといいでしょう。こういった場合に日本人は、うまくいかないことを好転させる対策を考えさせます。このケースにおいても推薦できるのは、c)の「彼が挙げた障壁について、対策を考えることを奨励する」です。そうすることによって、相手の文化的価値観を否定せず、敵対的ではなく協力的な関係を築くことができるので、よりよい効果を発揮するでしょう。



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