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日向清人のビジネス英語雑記帳
 

2006年7月 7日

打ってはいけないカンマ(ビギナー向け)

末尾でご紹介するとおり、これまでカンマの基本的な用法と副詞用法の従属節の前に入れるカンマについては記事を書いたことがありますが、この手のことは一度でもパンクチュエショーンの扱い方を勉強した人はだいたい知っていることばかりです。ところがそれ以前の問題である、カンマに関する「べからず集」とでも言うのか、やってはいけない初歩的な間違いの方は、英作文を熱心に添削してくれる教師にでも出会わない限り、そう簡単に是正されないようで、社会人の書く英文で実際によく見ます。特に英会話学校や英会話サークルなどを通じて、もっぱら耳から英語を勉強しようとしている人に多い感じです。

そこで、きょうは、ライティングの初歩の初歩に当たる、「打ってはいけないカンマ」を特集してみました。

以下でご紹介する「打ってはいけないカンマ」は、いずれも英語の基本的なしくみである、Who?  → What? という大枠の中で、主語 → 動詞 → 目的語 → Where? When? How? などに答える副詞的要素、と並べていくという言葉の作りと密接に関係しています。つまり、カンマは、主語、動詞、目的語、副詞的要素といった構文用のブロックをすきまなく並べて作る基本形を乱す要素が入るときのみ使うのが大原則であり、むやみに入れてはいけないのです。

具体的に言えば、以下で見て行くとおり(1)主語と動詞の間にカンマを打って切り離すな、(2)動詞と目的語の間にカンマを打って切り離すな、(3)主語+動詞+目的語という本体部分と副詞用法の従属節という従たる部分との間にカンマを打って切り離すな、という三大ルールがある上、(4)名詞句が二つ以上の名詞から成っている場合に、使われている名詞の間をカンマで分断してはいけないし、また、(5)動詞句が二つ以上の動詞から成っている場合に、使われている動詞の間をカンマで分断することも認められません。

(1)主語と動詞の間にカンマを打ってはイケナイ

「カンマについては、これを主語と動詞を分断するために使うことはない」と書きたいなら、こうなります。

NOT Commas, are not used to separate subjects and verbs. BUT Commas are not used to separate subjects and verbs.

中学校で英語を教えている友人によると、この種のカンマは、英語を習い立ての中学生の「得意技」のようです。日本語の場合、主語のあとに「、」を打ってもいいわけで、その応用のつもりでやるのでしょう。

(2)動詞と目的語との間にカンマを打ってはイケナイ

さすがに I don't like, this. と書く人は少ないと思いますが、意外と見落とされているのが、that節が動詞の目的語となっている場合です。こういう場合も、このルールは当てはまります。つまり I realize that...という一文は本来、I realize SOMETHING. と同じだという意味で、realize とそれに続く that 節は動詞と目的語の関係にあり、したがって、間にカンマを打ってはならないのです。そこで、「われわれは手遅れだとわかった」と書くなら、こうなります。

NOT We realized, that it was too late. BUT We realized that it was too late.


(3)センテンスの後半、従属節の始まるところでは原則としてカンマを打ってはイケナイ

基本的にWhere? When? How? Why? などに答える副詞用法の従属節の始まるところにカンマは打ちません。本来の流れどおりだからです。したがって、典型的には、うしろに IF 節が入っている場合は、その前にカンマを打つことはありません。いや、打ってはいけません。したがって、「ご不明の点がある場合は、遠慮なくお問い合わせください」と書く場合はこうなります。

NOT Please don't hesitate to contact us, if you have any questions. BUT Please don't hesitate to contact us if you have any questions.

例外的に、同じ副詞節でも、削除可能な情報であるときは、従属節の始まるところにカンマを入れます。例えば、「株主総会のために来日される6月にお会いするのを楽しみにしています」と書くのであれば、こうなります。

We look forward to seeing you in June, when you come to Japan for the shareholders meeting.

ここで、when 節の前にカンマが入っているのは、when 節の内容は June がどういう月であるかの補足説明であり、削除しても問題のない二義的情報だからです。これに対して上の IF 節のように本体部分の内容を左右する条件などの場合は、削除不能の重要な情報なので、そこではカンマを打つことはありません。

なお、IF節の場合、

If you have any questions, please don't hesitate to contact us.

というふうに IF節が文頭に出ているときは、カンマが入ることから、何となく、IF節とカンマがセットで使われると感じ、ともかく IF 節が出て来たらカンマを入れてしまい、

Please don't hesitate to contact us, if you have any questions. [これは駄目文です]

と書く人を見受けますが、文頭にある IF 節の場合にカンマが使われるのは、「普通の語順と違いますよ、したがって、主語はここですよ」ということを合図するためで、それなりの理屈があるためですから、何でもかでも一緒にするわけにはいきません。

(4)名詞句が二つ以上の名詞から成っている場合に、使われている名詞の間をカンマで分断してはイケナイ

ごく簡単なルールですが、何となくカンマを打つ人が多いものです。例えば、「この遅れは2006年と2007年の利益に影響するだろう」と書くとして、こういうことです。

NOT This delay will affect the company's profits for 2006, and 2007. BUT This delay will affect the company's profits for 2006 and 2007.

(5)動詞句が二つ以上の動詞から成っている場合に、使われている動詞の間をカンマで分断してはイケナイ

例えば、「会社として調査したけれど不正行為を示す証拠は得られなかった」と書くのであれば、こうなります。

NOT Management looked into the matter, but found no evidence of any irregularity. BUT Management looked into the matter but found no evidence of any irregularity.

このセンテンスは management を主語にして、それが look into と find という二つの行為に出たと言っているわけで、このように同一主語を起点とする二つの動詞が用いられる場合、二つ目の動詞の前をカンマで区切るといったことは行いません。

ただ、ネイティブスピーカーなどはそこで息を継ぐからといった感覚でカンマを打つ人がいます。しかし、これは個人的趣味の問題であって、エディターの手にかかったら十中八九、訂正される性質のものです。

★ さいごに

以上で見てきたとおり、「打ってはいけないカンマ」はいずれも基本的な英文構成法を乱す「大悪人」であることがわかります。実際、まともな教育を受けた人は上のような間違いはまずしませんから、ビギナーのみなさんはこのあたりを心して会得しておく必要があります。大きな間違いをしないで済ますには、なぜそこにカンマを打つのかをきちんと人に説明できないぐらいなら、何も打たないことです。


カンマ関連のバックナンバー

カンマの使い方:ひとまず用の足りる三つのパターン
because の前に余計なカンマを打っていませんか?
SUCH AS の前にカンマを打つ人、打たない人
SO THATの前のカンマ:目的を表すときは入れず、結果を表すときは入れるというルール




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Comments

社名とInc.の間に カンマを入れる場合と入れない場合があるようですが、どのように違うのでしょうか?

[返信]

その会社が正式の社名としてカンマを入れているか否の問題です。好みないしスタイルの問題です。ただ、書き手の任意で Inc. を足す場合につき、UPIのスタイルブックは、敢えて入れるなとし、J.C. Penney Co. Inc. という例を挙げています。

仕事などできちんとした英語を書かなければならないとき、punctuationの重要さを感じます。
バックナンバーも一気に読んだのですが、私は「…, therefore,… 」「…, however,… 」の間違いをしていました!(恥ずかしい…)学生時代ドイツ語を専攻していたのですが、その影響が未だ抜けず、どうしてもカンマが多くなりがちです(ドイツ語は副文の前には必ずカンマを打ちます)。もう一度復習しなければ。

ところでこちらのブログ、カテゴリがあるとバックナンバーが検索しやすいと思います。今回のように日向先生がバックナンバーを毎回挙げる必要もなくなりますし。アルクのご担当者さま、ご検討くださいませ。

[返信]

コメントとご提案、ありがとうございます。実は、ブログの左サイドバーに「カテゴリー別アーカイブ」という名のものはあるのですが、ちょっと見えにくいかも知れませんね。アルクさんの担当者に相談してみます。

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