日向清人のビジネス英語雑記帳
 

2012年3月13日

図解 英文ライティング

Novamindで、英文ライティングの全体像を描いてみました。上半分のmacro-level skillsの項目に双眼鏡のアイコンを使ったのは、「全景を遠くから望む」感じを出したかったからですが、どうでしょう。同様に micro-level skills の項目で虫眼鏡のアイコンを使ったのは近くから細々と見るイメージを出したかったからです。

まだ構想中の段階ではありますが、解説もつけてみました。ライティングが何かうまくいかない方にヒントとなるかも知れません。

Writing Diagram.png

図の説明

まずは起点である Written Discourse から始めます。Written Discourse とは、書き言葉での「ひとまとまりの、筋の通った文章」を言います。最終的には、こうした「「ひとまとまりの、筋の通った文章」でやや長めのものを軽くこなせるかが、「英語で書ける」と言えるかの判定基準となります。

★ Micro-level skills

下のMicro-level skills を見てください。文章というものが、何かを他の人々に伝えようとするものである以上、センテンスのレベルで何が書いてあるのかわからないようじゃ話になりません。そのことを指して、make the text accessible to readers at the local level と言っています。つまり、センテンスのレベレ (local level) で読み手が容易に内容を解読できることが必要です。

具体的にセンテンスのレベルで問題となる要素は、Vocabulary (語彙)、Grammar (文法)、そして、Cohesion(センテンスどうしのつながり具合)です。そこのテキストに盛り込まれている個別の「言いたいこと」が代名詞や同義語を使ってうまく「つなげられて」おり、AだからB、したがってCといったロジックが見えてなければならないということです。

★ Macro-level skills

上の方の Macro-level skills に目を移してください。英語学習者のほとんどがライティングと言うと、センテンス・レベルでの言い回しや文法事項に気を取られてしまいますが、実はこのマクロ・レベルで文章を見るというスキルはきわめて大きなウェイトを占めています。ミクロはいいけれど、マクロが駄目という文章は、細部はやたら良く書けているのに、全体として何であるのかがわからない似顔絵みたいなものです。これではコミュニケーションに供することができません。

上から見て行くと、第一に重要な視点は context で、具体的にはどういう状況で、何のため、そして、誰に向けて書くのかということです。授業の課題として、レポート形式で、教師のために書く文章と、クレームがあり、顧客の怒りを静めるために書く文章とでは、おのずと形式・内容が違ったものになってきます。

また、話し言葉との対比で言えば、会話では、相手がどういう立場にあるかを話し手の方で具体的にイメージできますが、書き言葉では、具体的にはどういう人かわからない読み手を書き手の方で想定しながら書くことが多いと言えます。

Schemaというのは、その文章の内容に関する書き手自身の知識のことですが、書き手は、ジャンル別に決まっている書き方をわきまえて書かないと、読み手はその文面と自分自身が書かれている内容についてある程度持っている予備知識との擦り合わせに苦労し、一読了解型の文章となりません。そこで、schemaを考える際には自分の知識をテキストにどう盛り込むかを意識する一方で、読み手が自分の知識と突き合わせながらそのテキストを読むときに、書き手が期待したシナリオどおりの展開となるよう意を用いる必要があります。

Coherenceは、「文章の中での筋道が通っており、意味をなしていること」です。基本的にはセンテンス・レベルでの「つながり具合」つまり cohesion の産物ですが、いくら cohesion がちゃんとしていても、coherence のない文章はありえます。

例えば、A cat is sitting on a fence. The fence was made and painted my son two weeks ago. Some of the paint has already come off. と並べた場合、間違いなくうまくつながっており、cohesion はあります。ところが、全体としては意味をなしておらず、したがって coherence がありません。

そうかと思うと、これは Widdowsonという研究者が挙げている有名な例ですが、次の会話では cohesion は見出せませんが、coherence はあります。

A: That's the telephone.
B: I'm in the bath.
A: Okay.

このように coherence は、読み手の知識を見越しながらテキストをまとめることで作出される、そのテキストに固有の整合性であり、そこでは、書き手、読み手、テキストという文章の三要素のすべてを考えながらでないと達成できないものです。いずれにしろ、coherence は、文章中の要素間の辻褄があっており、そのおかげで、読み手が自分の知識に照らして「ああ、そういうことね」と納得できるところまで持って行くことのできる「何か」ということです。

最後のEditingつまり推敲ないし見直しはきわめて大事なポイントなのに、けっこう見落とされることの多いポイントでもあります。事実、同じ英語学習者でも、初学者は言い回しの適否、語法の適否、あるいは単語、文法といったセンテンス・レベルのことばかり気にするのに対して、中上級者は、全体を見渡しながら推敲するといったことが指摘されているぐらいです。

いずれにしろ、この Editing の段階では、読み手の性質といった context を意識しながら作成した(はずの)文章がねらいどおりになっているかを再確認することになります。その際、いい手がかりを提供してくれるのが Grice の4原則というものです。これはコミュニケーションが円滑に行くための要件を Paul Grice という哲学者/言語学者がまとめたもので、その第一は過不足なく情報が提供されているかです。第二は、内容は正確か、第三は、関係ないことを盛り込んでいないかで、第四が、簡潔明瞭かです。

以上

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