文:伊藤雅雄・さかいもとみ コーディネーション:ホリコミュニケーション
イラスト:佐藤ワカナ
街で見知らぬ人とすれ違う時に、目が合うと笑顔を見せる国とそうでない国がある?
From イギリス
笑顔を見せるか見せないかは、積極的に回りの人々とかかわり合いを持つか、それともあまり関心を持ちたがらないか、その違いにかかるところが大きいようだ。

イギリス人は概して笑顔を見せる側。例えば、ドアが閉まる寸前の電車に駆け込んで、無事に乗れた時には、回りの人々から「間にあって良かったねえ」と、あちこちから「ニコニコ視線」が飛んで来る。

一方、海を渡ったフランスはどちらかといえば「見せない人々」が住むところ。「個人主義」で通し、他人に干渉することを極力避ける傾向がある。

イギリスとフランス・パリを結ぶ国際特急「ユーロスター」でのこと。途中駅から乗り込んだイギリス人が空いている座席に座ろうと、回りの乗客に声をかけたとたん、イギリス人だと「うーん、そこはだれかいるんじゃないかなあ? コーヒーでも買いに行ってるんじゃないの?」といきなりおしゃべりを開始。一方フランス人だと「そこダメだよ」と伝えるのに、読んでいる新聞ル・モンド紙からほとんど視線をずらさず、ただ一言「ノン」。「おしゃべりが大好きな英国人」には、「笑顔さえも見せてくれないフランス人は何を考えているのかさっぱりわからない」と感じられるらしい。

From 中国
中国では確かに笑顔は見せなかった。まだまだ社会主義的時代だった20数年前の中国では、モノを一つ買うのにも一苦労。商品は平気でお客に投げてよこす、「これの色違いはないのか」と尋ねても調べもしないで「没有(メイヨー=そんなものはない)」の一言でおしまい。そういう時代に生きていた人々は、やはり生活にも余裕がなくて、表情にもいまひとつ堅さがあったことを思い出す。

しかし、「世界の工場」から「世界の市場」へと変貌(ぼう)した中国。本当に社会主義の国なのかと思うほど、さまざまなモノであふれている。外国資本のブティック、巨大スーパー、ファストフード店にファミリーレストランなど、まるで日本の地方都市にいるかのよう。消費社会の最先端を行くお店では、大きな声でいらっしゃいませ、ありがとうございましたと「笑顔」の大安売り。ヒマなコンビニ店員に至っては、レジから出てきて「お客さま、何かご入用ですか?」と満面の笑顔付きの過剰サービスもあるほどだ。そんなに一生懸命に売らなくてもいいのに、とお客のほうが苦笑いしてしまうことも。

消費社会が進むにつれてもたらされたものは「モノ」だけでなく、「人々の笑顔」なのかもしれない。

ロシアでは写真を撮る時笑わない? イギリス人は傘を差さないって本当?
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