文:片岡恭子 コーディネーション:ホリコミュニケーション
イラスト:佐藤ワカナ
記念写真を撮るのに、笑わないで写る国がある!?

From ボリビア

ボリビア人は写真を撮られるときにあまり笑わない。それどころか、撮られることを嫌う人もまだ多い。中南米の他の国々にもあてはまるが、特に先住民の人々は嫌がる傾向が強い。

ちょっと前までは市場でカメラをかまえようものなら、食堂のおばちゃんが怒って包丁を振り上げて追いかけてくることさえあった。それは極端な例としても、カメラを向けられていると知ると、顔を背けたり、うつむいたりする人は多い。

首都ラパスに住むアウグスティーナも、カメラを向けるといつも表情がこわばる。彼女に言わせれば「写真はちゃんと身支度を整えて、記念日に家族みんなで写真館で撮るもの」なのだ。カメラのある家庭はまだ少なく、いわゆるスナップ写真を撮ることも撮られることにも慣れていない。写真はとてもフォーマルなものなのだ。

だから、写真が広がり始めた明治初期の日本人のように、ボリビア人はまじめな顔で写真に納まる。「写真に撮られると魂が抜かれる」とまでは思っていないのだが、カメラを向けられたとたんに緊張してしまうのだ。

ボリビアの先住民人口はほぼ6割。写真館もカメラも珍しい地方や先住民の年配者は、スナップ写真を嫌う傾向がより一層強くなる。

From フィリピン
微笑みの国と呼ばれるタイ。しかし、フィリピンだってタイに負けてはいない。

フィリピンでカメラを構えて嫌な顔をされたのは、たったの1度だけ。相手は山岳少数民族のおばあさんだった。先住民のお年寄りには嫌がられることもあるかもしれないが、大多数のフィリピン人は満面の笑みでポーズまでとってくれる。写真をあげるわけでもないのに、撮り終わった後にお礼を言われることもしょっちゅうだ。

セブ・パシフィック航空のフィリピン国内線の同じ便に、有名なフィリピン人歌手と乗り合わせたときのこと。この航空会社自体が機内でクイズ大会を開催するなど、乗客をあきさせないことでよく知られている。有名歌手が搭乗していると客室乗務員がアナウンスしたとたん、機内は大きな拍手と歓声に包まれた。するとその歌手は立ち上がり、マイクを受け取ると乗客のために1曲歌い上げた。なんというサービス精神!

写真を撮られるときだけでなく、フィリピン人はいつも笑顔なのだ。「私たちフィリピン人はね、フレンドリーで誰かを喜ばせることが大好きなの」と首都マニラに住むガビーは言う。フィリピンという国は決して豊かではないが、人々の幸福度は高く、自殺者も少ない。

ロシアでは写真を撮る時笑わない? イギリス人は傘を差さないって本当?
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