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文:堀内章子・長 晃枝 コーディネーション:ホリコミュニケーション
イラスト:佐藤ワカナ
はんこを使うのは日本だけ?
From アメリカ
サイン社会アメリカ。子どもでも、自分の名前がしっかりと書けるようになる小学校中学年くらいから、サインを書き始め、パスポートのサイン、学校の書類も、親だけでなく子どももサインをするようになる。出生届、会社での書類、荷物の受け取り、銀行の口座開設、不動産売買、ローン申請、病院での保険の支払い、保険システムについての同意、レンタカーの申し込み、パスポート、学校の入学願書や週間おたより帳にもサインをする項目がある。これは、責任を追求する場所がどこにあるかはっきりさせるためだ。
アメリカでは小切手がよく使われるが、銀行に、「シグネチャーカード」というものがあり、最初のサインと毎回のサインが、同じかどうか照会している。また重要な書類には、「サインの本人確認」が求められ、公証人(notary public)による証明が必要になるものもある。その場合、公証人の目の前でサインをし、それを提出することにより、公正証書となる。
アメリカでも、日本人がはんこを持っているのを興味深く感じ、モリスという人は当て字で森須などと、遊び感覚で漢字を作り、はんこにする。ただ公式の書類では印鑑は一切使えず、すべてがサインとなる。
From 中国
中国・杭州の老舗印舗、西冷印社
でオーダーした落款印
印鑑の起源は、約5000年前のメソポタミア文明時代と古く、そこから世界各地に広まったとされるが、西洋でその文化が定着することはなく、現代の欧米諸国では、契約文書などにはサイン制度が取られている。
一方、東洋では中国、韓国、日本へと広まり、役所などの公式の文書に印鑑が用いられるようになった。日本ではその後庶民へも普及。今も印鑑登録の制度があり、不動産などの登記にも個人の印鑑が必要とされる。
ところが、日本の印鑑文化の元となる中国では、政府の公印や法人の登記、契約などには用いられるものの、個人的な契約は署名で済ますほうが多い。興味深いのは同じ文化圏でも、台湾では日本と同様に印鑑証明の制度があり、不動産契約などにも印鑑が必要となることだ。
ただし、絵画や書におけるサインに変わる落款としての印鑑の文化は今も広く親しまれている。中国本土でも台湾でも、繁華街や観光地には、路上に机を置き、その場で石を彫って数分で仕上げてくれる手軽なものから、立派な店構えの老舗まで多くの印舗が見られる。欧米人の名前を漢字に置き換えて彫ってくれる店もあり、お土産としての人気も高い。
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