|
[Goth Chic--A Connoisseur's Guide to Dark Culture]
Gothic is sophisticated barbarism. It is a passion for life draped in the symbolism of death. It is a cynical love of sentiment. It is a marriage of extremes such as sex and death. It uses darkness to illuminate. It believes duty is vain, and vanity to be a duty. It is the compulsion to do the wrong thing for all the right reasons. It is a yearning nostalgia for the black days of a past that never was. It denies orthodox reality and puts its faith in the imaginary. It is the unholy, the uncanny, the unnatural.
ゴシックは洗練された野蛮である。死の象徴に覆われた生の賛歌である。高尚な感情へのシニカルな愛である。セックスや死といった極端なものの結合である。それは暗闇を使って光を当てる。義務は無益で、驕慢こそ義務であると考える。それは正しい動機で間違ったことを行いたいという衝動である。実際は存在しなかった過去の暗黒時代に対する憧れに満ちた郷愁である。正統の現実を否定し、架空のものを信仰する。不浄で、不気味で、不自然である。
ここまでがこの本の序論で、以後、ポウの「アッシャー家の崩壊」などのゴシック文学、昔のドラキュラものなどの怪奇映画をざっと復習したあと、現代のホラー映画や小説や音楽やファッションに現れるゴシック的なもの(つまり、ゴス)を次々に紹介している。そういうものが好きな人には、絶好のガイドブックになるだろう。
言葉で説明するとわかりにくいが、インターネットを利用できるかたは、次のURLを開いてみるとおもしろいかもしれない。
http://www.thedarkangel.co.uk/
これは、ゴス専門ファッション・ハウス「ダークエンジェル」のホームページで、イギリスのゴス・ファッションがどういうものか一目でわかるし、通販で買うこともできる。子供服まであるが、いわば日本の「ゴスロリ」のイギリス版だ。
ロックのゴスは、パンクが燃え尽きて、グラム・ロックが台頭してきたときにその両者を融合するかたちで出てきたものだというが、次のURLは、前述のゴス専門レーベル、ナイトブリードのホームページである。
http://www.churchofnightbreed.com/
最近では、日本のアニメに登場する未来の戦闘少女のようなコスプレをするゴス女性がいるそうで、そういうゴスは、「おてんばゴス(perkygoth)」と呼ばれているそうだ。ゴスもなかなか奥が深い。
最後に、思い出話をすれば、大学時代、吸血鬼の扮装をしてキャンパスを歩いている先輩がいた。一九七〇年代後半のことである。煉瓦造りの古い建物に吸血鬼ファッションが妙に似合っていたのが記憶に残っている。卒業後も数年おきに話をする機会があった。生きていれば五十五、六になるはずだが、何年か前に亡くなった。「今、吸血鬼の小説を書いてるんだけど、吸血鬼がアメリカに行く場面で、英語をしゃべらせないといけないんだよ。セリフ、英訳してくれる?」という電話がかかってきたのが最後だった。
本書を読みながら、あの先輩はゴスを先取りしていたのだなあ、と思った。
| Gavin Baddeley
Alice
Gavin Baddeley(ギャビン・バッドリー)はオカルトに詳しい音楽ジャーナリスト。本書でも音楽のパートに一番力が入っている。これまでにもオカルト系ロックバンドの研究書や、マリリン・マンソンの伝記などを出版している人で、年齢はよくわからないが、写真を見るとまだ四十前のロック野郎という感じである。勉強家らしく、多種多様な本からの引用が多い。本書Goth
Chic は2002年にPlexus Publishingからペーパーバックで出版された。値段は£14.99。
|
|
|