done with〜は「〜と関係を断つ」、finishedは「終わった」という意味で、直訳すれば「こんなこと(特殊任務)なんかとは関係を断つ、もう終わりだ」となります。これをそのまま縮めて「もう辞める 終わりだ」というような字幕にしても間違いではありませんが、ここでは、もう少し話者の心情が強く伝わるような言葉選びをしたいものです。
先にも述べたように、この場面は暗殺の現場に子どもがいたことで心が動揺し、その一瞬の隙に攻撃されてしまったダニーのセリフです。殺し屋の世界では一瞬の気の迷いや、感情の揺れが命取りになります。そこで、子どもを殺すことができなかった自身の殺し屋としての限界を悟った人物が語るセリフですから、前半のI'm done with this.は「もう限界だ」というぐらいの強い語彙を選ぶ方がよりよいでしょう。
さらに、後半のI'm finished.の部分は「もう終わりだ」や「仕事を辞める」といった訳にしてもOKですが、ダニーは裏社会で生きる人間なので、「足を洗う」という、それらしい翻訳にしています。