監修 日向清人

***ビジネス英語通になるための25話***

第8話

■会社の決算期について

 今回は、会社の決算を取り上げます。大昔であれば、出資者が隊商あるいは帆船を送り出したあとは、それが帰ってくるのを待って帳簿を締め、つまり決算をして (close one's books) もうけを確定し、それを山分けしていました。

 ところが 現代の企業についてはこうした区切りを期待できませんから、暦年 calendar year とは別に、事業年度/営業年度 (financial year/fiscal year) を区切り、末日現在で決算をし、業績を明らかにしています。その結果をひとまとめにしたのが決算書 financial statements です。なお、よく誤解されている点ですが、決算期という言い方は期間ではなく、年度の末日 year-end 、つまりは時点を指す言い方です。
 
 わが国の上場企業の大半、1,800社強が3月決算です。英語ではどう言うのでしょうか。新聞の経済面では「XYZ社の2000年3月期の経常利益は70億円と前期比17パーセント増となった。売上高は2000億円と3パーセント増」というパターンが一般ですが、これを英文経済記事風にしますと、次のようになります。

In the full year ended March 2000, XYZ Inc. reported current, or pre-tax, profits of 7 billion yen, up 17 percent year-over-year, on sales of 200 billion yen, up 3 percent from a year earlier.

 2000年3月期と言えば、1999年度のことですから、FY1999 (FYは fiscal year の省略形であり、西暦年との間にスペースを入れずに使う) と言ってもよさそうなものですが、これですと1999年に決算期が到来する、つまり年度が終わるという誤解を与えるので避けられています。どうしても1999を入れたいのであれば、for fiscal 1999 ending March 2000 と書き方をします。

■売上高、経常利益

 上の決算発表記事を例に取って、中身を見ていきましょう。記事では売上高が最後に来ていますが、話の順序としては初めに売上高ありきということになります。企業決算といっても、要は収益マイナス費用イコール利益という図式が語られているだけです。

 まず売上高は sales です。米企業の決算書の中では net sales という言葉も使います。わが国の企業の場合、一般にモノを扱う会社は「売上高」とし、そうでない企業が「営業収益」とする傾向がありますが、アメリカ企業でも同様で、モノを扱う会社が net sales とする一方、そうでない会社は revenues とするケースが一般です。

  なお、net sales を「純売上高」と訳すのは考えものです。総売上 (gross sales) から値引き分や返品分が差し引かれているので net と言っているわけですが、わが国の決算書でいう「売上高」は既にこうした値引きなどを加味した金額ですから、net sales イコール「売上高」となるはずであり、「純」売上高では屋上屋を架すに等しいものがあります。

 経常利益にはどうたどりつくのでしょうか。売上高から売上原価 (cost of sales) を差し引いた上、人件費などの営業費用 (operating expenses) を差し引くと会社の本業でのもうけ具合を示す営業利益 (operating profits) が求まります。それに支払う利息やら受け取った配当金といった金融収支 (interests and dividends) を加減したものが経常利益です。

 英文経済記事では、current profits、pre-tax profits が一般で、recurring profits も見かけるといったところでしょうか。なお、ここからさらに工場の売却による臨時収入といった特別損益を加減したものが最終利益ないしは純利益であり、net income (これだけが不可算名詞) または net earnings、net profits と言われます。

 こうして見てきますと、売上高から出発して各種費用を引きながら降りてきて最後に最終損益ないしは純利益にたどりつく格好になるわけで、そこから俗に売上高を top line、最終損益を bottom line と言ったりもします。

  最後のポイントは前年比の部分です。つまり前年比業績変化率 (year-to-year comparisons) ということであり、y-o-y と省略する year-over-year 以外にも y-t-y と省略される year-to-year もよく見られます。


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