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***ビジネス英語通になるための25話***
第22話
■インフレ指標のいろいろ
今回はインフレの話です。インフレの逆であるデフレ(全般的物価下落)は、製品価格の下落が生産の縮小を招き、ついには失業者があふれる大恐慌を意味します。ですからデフレ気味だと、コントロールしながらインフレを演出してみては、という調整インフレ論(inflation targeting)まで出てきます。しかし、インフレの行き過ぎは消費者の実質所得を引き下げ、企業のコスト増を招く上、予測可能性という、経済活動に重要な要素を損ねますから、どの国の中央銀行も景気の拡大による雇用の確保と物価安定(つまりインフレ抑止)のバランスを取りながら金融政策(monetary policy)の運営に努めます。
アメリカの代表的なインフレ指標は次のとおりです。
- 消費者物価指数(consumer price index):一般消費者の典型的「買い物リスト」に即して、かかるお金を集計し、期間ごとに比べる指数です。イギリスの小売物価指数(retail price index)に相当します。
- 生産者物価指数(producer price index):生産者段階の各種製品価格を集計したもので、いずれ消費者物価に波及する先行指標という意味で重視されます。イギリスの卸売物価指数(wholesale price index)に相当します。
投資家やプロは、以上の2つ以外に原材料段階までチェックするため、国際商品(commodities)と言われる原油、金、ゴムなどの価格指数(CRB
指数)にまで目を配ります。また、 GDP 統計と一緒に発表される GDP デフレーターは、一番包括的なインフレ指標とされます。
■インフレと自然失業率の関係
ところで、アメリカの金融政策の元締め FRB (Federal Reserve Board=連邦準備制度理事会、アメリカでは Fed で通っています)は、以上のインフレ指標以外に、時間当たり平均賃金(average hourly earnings)や失業率(unemployment rate)に代表される、経済全体の資源の稼働率(resource utilization)にどの程度余裕があるかをも見極めようとします。グリーンスパン FRB 議長が定期的に議会で証言する際も必ずこの問題に触れます。
労働力人口(labor force)が目一杯生産に振り向けられると、労働需給のひっ迫(tight labor market)となり、人件費が上がって企業のコスト増をもたらします。そこで、労働力人口にどの程度ゆとりがあるかを見るため、失業率は経済政策運営上、大きなウェートを占めています。このため
NAIRU (Non-Accelerating Inflation Rate of Unemployment、インフレを生じさせない失業率の下限=自然失業率)
がいつも大きくクローズアップされてきました。失業率とインフレには一定の相関関係があり、失業率が「ある水準」を割り込むと急激にインフレが加速しますが、それまではインフレなき景気拡大を享受できるという理屈です。ただ最大の問題は、どの水準が
NAIRU に当たるのかがなぞであることです。
先ごろ、連銀理事の一人が NAIRU は5パーセントから5.25パーセントあたりとした上で、現在の失業率は4パーセントだから景気は過熱しており
(the economy is growing too much strongly)、従って一段の金融引き締め(more monetary
restraint)が必要だと説いています。ところが、実際の失業率がこの「なぞのNAIRU」を下回ってから既に2年経っているのに、インフレが急激に悪化している兆しは見られません。NAIRUは幻影でしかないという批判があるゆえんです。
グリーンスパン議長本人はもともと NAIRU に懐疑的とされてきましたが、7月の議会証言では、 とうとう次のようにコメントしました。
The NAIRU, which served as a very useful statistical procedure to evaluate
how the economy was behaving ..., like so many temporary models, is probably
going to fail in coming years as a useful indicator.
(NAIRU はこれまで経済の動きを捉えるための統計として非常に役立ったが、時間的有用性に限りのある分析モデルの常として、今後はおそらく指標としての有用性も落ちてくるだろう)
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