監修 松澤喜好


第36話:助手(assistant)と駅(station


「立つ、立っている」のイメージを持つ語根 "stare"

学生:語源ランキングの1位は、ラテン語の "stare" ですね。これについてもっと詳しく教えてください。

松澤:"stare" はラテン語の動詞です。語源の有効性・威力は、stare の派生語をみると納得できますよ。

学生:assistant と station は "stare" が語源ですよね。「立つ」とは随分イメージが異なるようですけど。

松澤:assistant は as(=ad [そばに])+sistere(立つ)と分解できます。「そばに立って手伝う人」という意味ですね。station は "stare" をもとにして、フランス語の station になり、そのまま英語になりました。

学生:あれ。assistant の語源は "sistere" なのですか。"stare" とは違いますね。

松澤:鋭い指摘です。私の独断で、"stare" と "sistere" という2つのラテン語を一緒にしました。どちらも「立つ」という意味です。"sistere" は "stare" の前に si を付けたものだと考えられます。英語を学ぶだけなら、この2つのラテン語を区別する必要はありません。似たような単語を並べるので、辞書で意味を調べてみてください。state、statue、statute、status、stature です。

学生:まぎらわしいですね。state(状態、州)、statue(像)、statute(法令)、status(地位)、stature(能力レベル、身長)。もうだめだ。イメージがつかめないので、覚えられないですよ。

松澤:「立っている」イメージに近いのは、statue(像)と stature(身長)ですね。stature は立っている状態での「高さ」です。statute、status、state は、役人の目から見た「立っている状態」です。state は「どういうふうに立っているのか」を役所が説明した状態や状況です。行政が線を引いた州や国家という意味を知っているよね。status も法律的に表した状態、すなわち「地位」です。statute は役所が立てたイメージです。法律ですね。江戸時代のお触れのイメージが覚えやすいかもね。

学生:そういうふうにイメージで教えていただけると、忘れにくくなります。語源辞典の全部の単語をイメージで説明してくれませんか。

松澤:そうしたいのですが、ものすごく時間がかかるので、どうしようか考えているところです。とりあえず、このコラムでできるだけたくさん紹介していくつもりです。


●関連語彙

circumstance:環境、状況
circum(周囲に)+stare(立つ) → まわりをとりまく(環境)
constant:絶え間の無い、不変の
con(=com [完全に、しっかり])+stare(立つ) → じっと立ちっぱなしのイメージです。
understand:理解する
under(下に、間に)+stare(立つ) → 間に立って表裏を理解するイメージです。

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