監修 松澤喜好


第66話:英語とフランス語の共通点


英語とフランス語は東京弁と大阪弁くらい似ている

学生:このコラムのなかに毎回フランス語が出てくるようになりましたね。だいぶ慣れてきましたが、フランス語も勉強しないといけない、というマインド・コントロールにかけられているような気がします。

松澤:フランス語の授業をとっていなかったのですよね。実は、これからフランス語を学習しようとしている人たちが、フランス語をスムーズに学習できるようにしようという意図もあります。日本語と英語は大きく違いますが、英語とフランス語は兄弟のようなもので、およそ東京弁と大阪弁くらいの差しかありません。日本人で英語が使いこなせるようになった人は、英語にかけた時間の10分の1の時間でフランス語をマスターすることができます。

学生:大阪弁や東京弁もアクセントや語尾が違うだけで、同じ日本語だとわかりますよね。

松澤:英語の語彙の目標は2万語でした。2万語の語彙があれば、辞書を引かなくても英語を日本語に近いスピードで読むことができるようになります。リスニングも100パーセント聞き分けられるようになるための土台ができ上がります。

学生:英語学習では、寝転んでも洋画を楽に聞くことができて、ペーパーバックをスラスラと読めることが夢です。2万語の語彙でその夢がかなうのですね。語彙が足りないと、聞いたり読んだりしてもわからないですよね。

松澤:その夢をかなえるためにこのコラムを書いています。英単語の2万語の語源別分布では、ラテン語系(イタリック語派)の単語が70パーセントを超えて、80パーセント近くを占めます。2万語の英単語の語源別分布を図にすると、以下のようになります。

2万語の英単語の語源別分布
ゲルマン語 英仏共通語彙(ラテン語系)

 フランス語の語彙も同様にして表すと以下のようになります。つまり、英語の核となるゲルマン語の部分をフランス語の核となる部分で置き換えるとフランス語ができ上がります。英語からフランス語への学習もこの特徴を最大限に利用すればよいのです。

学生:すごいですね! フランス語を学ぶときは、上図の左側にある小さな部分をフランス語に置き換えるだけでいいのですね。

フランス語の単語の語源別分布
フランス語 英仏共通語彙(ラテン語系)

松澤:英語を学習するときには、このコラムの考え方のように、語源となるラテン語の単語に慣れくといいでしょう。そうすると、フランス語を学習するときには、ゲルマン語の部分に相当するフランス語を集中して学習すればよいのです。このフランス語の部分とは、約2000語の基本単語、基本構文、そして単語の変化形です。そして何よりも「発音」が重要です。つづりと発音の関係と英語にはない発音を徹底的に学ぶ必要があります。ラテン語系の英単語をフランス語的に発音できるようになれば、フランス人とカタコトの会話ができるようになります。

 英語とフランス語の共通語彙は全体の80パーセントを占めます。発音が異なるので違う単語のように聞こえますが、英語とフランス語の両方が発音できるようになると、両者は同じ単語であることがわかります。フランス語の発音はスペルに忠実ですので、英語よりも短期間で習得できますよ。英語の発音ができている人は、英語の無声子音が使えるので、母音を学習することですぐにフランス語の発音ができるようになります。

学生:語源の勉強をする前は、英語とフランス語はまったく違う言語だと思っていました。でも、この語源の解説を聞いているうちに、フランス語と英語の共通部分が非常に大きいということがわかるようになってきました。

松澤:ラテン語系の言語はみんな兄弟です。語彙はほとんど同じですが、少しずつ異なります。ラテン語系というのは、フランス語・イタリア語・スペイン語・ポルトガル語などです。英語はグローバル・スタンダードになってきていますが、そのほかのラテン語系の言語は世界中に広く分布しています。

学生:スペイン語とポルトガル語が理解できれば、南アメリカのすべての国で会話ができるのですよね。フランス語はアフリカの多くの国で使われているし、カナダでも使えますよね。

松澤:英語を語源と結びつけて学習しておくと、将来ラテン語系の言語の学習が必要になったときに、極めて効率よく学習することができます。トロイの遺跡を発見したシュリーマンが多国語をマスターしたことは有名ですが、欧米人がラテン語系の言語をたくさんマスターできる理由は言語の類似性にあります。

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