監修 松澤喜好



第24話 
語源は役に立つのか

今まで寄せられた質問のうち、最も多かったのが「語源の知識は役に立つのか?」という質問です。 今回はこの質問にお答えします。いままでの復習も兼ねています。

英語の語彙が身につくためには2つの段階があります。
(1)機械的に記憶している、読むときに何となくわかる。
(2)話すときや書くときに使える、日本語を介さずに単語の意味をイメージできる。

例えば、"Good morning."は、(2)のレベルで使いこなせる語彙です。日本語を介さずに理解できて、使用する場面も間違えることはありません。語源の活用は、(1)の語彙を(2)へレベルアップさせる強力なツールとなるのです。

漢字を学習するときや書くときには、「へん、つくり、かんむり」などの部首の知識が助けになって いますね。同様に、英語の語源(ラテン語や仏語)の知識が、英単語のイメージをつくるための 助けになります。漢字の部首は、自然界の事象や体の部分などを表していますが、英語の語源は主に動作を中心としています。このことを知っておくと英単語がイメージしやすくなるでしょう。
 また、日本語と英語で各単語のカバーする範囲が異なるために、訳が一対一に対応しません。 このために英和辞典には1つの英単語に日本語訳がたくさん書かれています。英単語の語源の イメージを知ると、たくさんある日本語訳も本来はある1つのイメージに統合・整理することが できるのです。

第14話ではSVL12000語の語源を調べました。実はこの語源の分析には重要なメッセージがあるので繰り返します。数字で表せるので、納得しやすいと思います。

12000語のうちの23%(2760語)はゲルマン語系の単語です。この約2760語はいわゆる基本単語です。中学生のときと、高校の1-2年生で習います。これらの単語には語源の知識は使えません。このために語源の知識は役に立たないと一般に考えられています。この語彙の領域では、熟語をマスターすることが重要です。(第21話参照)

ところが語彙が約3000語を超えると、ラテン語から派生した英単語の領域に入ってゆきます。12000語のうちの実に59%(7080語)がラテン語系の単語です。この7000語は約500の語源から、約20個の接頭辞との組み合わせで作られています。第15話では16個の接頭辞のマトリックス表のコンセプトを説明しました。がむしゃらに7000語を覚えようとしても大変な労力が必要です。ところが良く使われている語源のラテン語を50個知っているだけで、約2700個の英単語が関連付けて覚えられるのです。第15話のコンセプトを信じて、マトリックスを埋めてゆくイメージで知らない単語に出会ったら辞書を引いて頭の中に入れ続けてください。比較的短い時間で語彙が増えている自分に気づくと思います。

最後に、私の語学に対する夢を2つお話ししたいと思います。

1つ目は「英語の習得はそんなに大変ではない。」ということをもっと知って欲しいと思います。SPACE ALCには英語の習得を楽にする方法が沢山書かれていて、誰でも見ることができます。近い将来、大学に行く日本人のほとんどが、卒業するまでに英語を使いこなせるようになっている時代が来ることを夢にみて、そのためにもっと語源の知識が役立つように励んでいます。

2つ目は漢字のことです。「漢字圏の国々(中国、台湾、日本、韓国など)の間で、ウェブサイトで使われる漢字のかなりの部分が共通になっていること」です。2050年、2100年ごろには実現していることを夢見ながら、これから英語、中国語、そのほかの外国語を学ぶ後輩に夢をつなげたいと思います。


【SPACE ALC「語源学習法」の第100話を確認】
語源学習法 には全部で100話のコラムがあります。
第100話 は2001年6月の記事ですが、この「語源の扉」第24話(2005年3月)のもとになっています。
 

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