学校・教育

勉強内容は同じでも、やり方には疑問がたくさん!

回答:葦原恭子(東京学芸大学講師)、NPO法人 国際教育活動ネットワーク(REX-NET)

Q.  なぜ専門学校が多いの?どんな学校が人気ですか。(韓国)
A.  長く続いた不況のせいで、いい大学に入ってサラリーマンになれば一生安泰、という神話が崩れ、手に職を付けて資格を得たいと望む人が増えているからでしょう。社内で従業員を教育していた企業も、最近では即戦力になる人材を求めるようになりました。さらに高卒者の就職難も、専門学校への進学率を押し上げています。多種多様な分野の専門学校がありますが、医療、美容・理容、調理などが人気です。
Q.  日本の学校に家庭科の授業があるのはどうしてですか。(中国)
A.  学校を出た後、自立して生活できる知識を身に付けるためです。家庭科の授業は、男女が協力して家庭をつくることを目指し、1947年に小学校で始まりました。また、家事を経験しない子どもたちが増えたため、今では中学校や高校でも男女ともに家庭科を勉強しています。子どもたちにとって家庭科は、「いかによく生きるか」を考えるきっかけになっているようです。
Q.  外来語をよく使うのはどうしてですか。(中国)
A.  同じことを日本語で言うよりも、新しくてかっこよく、知的な印象を与えるから。また、日本語が、名詞や動詞、形容詞などを簡単に文構造の中に組み込める膠着語であること、外来語や擬音語を表すのに適したカタカナ表記を持つこと、などが外来語の多用に関係しているのでしょう。
Q.  日本の子どもたちはどうしてみんな塾に通うのですか。(アイスランド)
A.  大半の親や子どもが、塾に通うと入試などの試験対策に効果的だと考えるからでしょう。みんなが行くのに自分だけ取り残されるのはいや、という気持ちも強いですね。
Q.  日本の大学生はなぜあまり勉強しないの?(国籍不明)
A.  大学に入るのが難しく、逆に卒業するのは簡単なので、気が抜けてしまうのかもしれません。熾烈(しれつ)な受験競争を勝ち抜くために子どものころから一生懸命に勉強してきたので、合格したらほっとします。学生時代は、厳しい社会に出るまでのゆとりの時期ととらえる学生が、特に文系学部に多いようです。
Q.  英語を勉強するとき、なぜカタカナで発音を覚えるのですか。(韓国)
A.  これは諸外国でも同じこと。自分の国の言葉にある近似音に置き換えたほうが、覚えやすいし、発音しやすいからです。日本人は目で言葉を覚えることに慣れているため、発音記号を使ったほうが学習しやすいし、試験の発音問題もほとんどが筆記です。ところが、その発音記号の修得が不十分なので、簡単なカタカナを使う生徒が多いのでしょう。
Q.  化粧をしたり髪を染めたりする生徒になぜ厳しくしないの?(韓国)
A.  みんなが化粧をしたり髪を染めたりしているわけではなく、厳しく禁じている学校もあります。ただ、ここ20年ほどで、「外見だけで人を判断すべきではない」という考え方が叫ばれるようになり、外見を規制することが社会一般に難しくなったのは確かです。また、親にも肯定派が多く、厳しくしても、なぜだめなのかと言ってくる場合があります。
Q.  制服を着るのはなぜ小学生は冬なのに半ズボンをはくの?(フランス)
A.  制服は安上がりで家計の負担が少ないし、家庭の経済力による差も出にくくなります。半ズボンは健康のためでしょう。学校が冬に半ズボンを指定することはありません。
Q.  日本人はなぜ日本語よりも英語が上手になりたいのですか。(韓国)
A.  英語に対してそんなふうに考えている日本人は少ないと思います。実際のところ、日本語ができなければ、日本での生活は成り立たないし、進学や就職、その他の自己実現を果たすことも難しいからです。日本語と比べて英語が上手になりたいと考えているのではなく、ふだん日常的に使っている日本語のことで困ることはないので、プラスαとして英語を身に付けたいと考えているのではないでしょうか。

日本人が英語を学ぶ大きな理由は、英語が学習教科として、あるいは大学受験科目として重要であることに加え、英語力があると就職でも有利だし、さまざまな国の人々とのコミュニケーションが広がるからでしょう。

しかし、一方では、英語圏に対するある種のコンプレックスや畏敬の念から、英語ができるのはスゴイことだ、英語が話せるとカッコいい、といったステイタス感や思い込みがあることも事実です。その割には、アジア諸国の中でも日本人の英語の下手さは有名ですが……。
Q.  日本の学校では目上の人に対する礼儀を教えないのですか。(韓国)
A.  昔の日本には、学校や家庭、地域の中で、誰もが礼儀を自然に身に付けていく環境がありました。大人たちは、よその子であってもきちんと注意をしていたのです。しかし、今はそれがなくなってきています。学校でいくら礼儀を教えても、家庭で教えていなければ、なかなか身に付きません。第二次世界大戦の前後で、日本人の価値観が激変したという事情もあります。敗戦までは、子が親を、妻が夫を、生徒が教師を敬うという上下関係が尊重されていましたが、そのことが軍国主義を招き、人権侵害を生んだという反省から、戦後は自由、民主、平等が叫ばれ、目上の人に対する礼儀を学校や家庭であまり教えなくなったのです。

「日本人は自分の意見をはっきり言わない」という批判が注目されて、よく考えもしないで目上の人が言うことを鵜呑みにしてはいけない、ということがマスコミを中心に大きく叫ばれるようになったことにも一因がありそうです。

ただし、日常生活に必要な礼儀がまったく教えられていないということではありません。信頼できる大人に、「礼儀を重んじながら、意見をしっかり言う」という姿勢を教えられた子どもは、とても礼儀正しい行動ができていると思います。
Q.  日本人は全員、読み書きができるのですか。(国籍不明)
A.  できる、と言っていいでしょう。UNESCO(国連教育科学文化機関)が公開している世界の識字率によれば、2002年現在における日本の識字率は99.8%(男性99.9%/女性99.7%)となっています。日本では、小学校6年と中学校3年(盲・聾・養護学校では小学部6年・中学部3年、中高一貫校では前期課程3年まで)の計9年間が義務教育とされ、教育を受ける権利と、受けさせる義務が法律によって定められています。そうした国民皆教育の政策による影響が大きいと思われます。ただ、最近では漢字の書けない若者が増えていますね。
Q.  女子高生のスカートはどうしてあんなに短いのですか。(国籍不明)
A.  制服着用という制約の中で、できるだけ制服を制服らしく見えないように着る有効な手段は、スカート丈の調整です。スカート丈が適正なサイズから外れれば外れるほど、大人たちは眉をひそめますが、女子高生にとってはカッコよさが増すわけです。現在の超ミニは、それが短いほうの究極までいった例でしょう。反対に、30~40年ほど前には、異様に長いスカートが全国の女子高生の間で流行したことがあります。

もちろん、全員が短いスカートを好んでいるわけではありませんが、下に短パンのようなものをはいていれば短くてもいい、と感じている生徒は多いようです。ファッションといえばそれまでですが、冬でも短いスカートで通すのを見ていると、大人になって婦人科系の病気を患わないかと心配になりますね。
Q.  「ヨーロッパの子どもたちはいろいろな言語を学びますが、どうして日本の子どもたちは外国語を勉強しないのですか。(国籍不明)
A.  日本は島国ですので、ヨーロッパ諸国とは違い、日本語ができれば、外国語ができなくても日常の生活に不便はないというのが最近までの現状でした。日本では、教科としての外国語(ほとんどは英語)の勉強は中学校から始まります。それでも週に数時間程度でしかありません。ですから、外国語を必要とする仕事に就きたい人は、その後苦労して勉強しなければならないというのが現実でした。しかし、現在のような国際化が進んだ時代ではそうも言っていられなくなり、数年前から「小学生から外国語を学ぶ必要があるのではないか?」 という議論が起こってきました。最近の調査では、9割以上の小学校で外国語(やはり英語がほとんどですが)に触れる時間を設けているようです。ただ教科としての勉強ではなく、時間数は月に1時間程度と少ないうえ、内容も簡単なゲームや外国人を教室に招いて一緒に遊ぶといったものが多いようです。今後、小学生の外国語教育の是非や内容についての議論はますます高まりそうです。
Q.  スーツで授業をしている先生が少ないのはどうしてですか。(国籍不明)
A.  一般的に日本の場合、スーツというのはお客様に会ったり、公式な場に出たりするときの正装です。小学校の先生の場合、朝から放課後まで、子どもたちと接しています。体育の時間や休み時間は校庭で子どもたちと動き回ることが多いのです。また、子どもたちといっしょにそうじをしたりもします。ですから教室で授業する時も含めて、一日中ジャージなどの活動しやすい服装でいることが多いのです。入学式や卒業式など、特別な日にはスーツを着用していますし、通勤時はスーツを着ている先生も多いようです。
Q.  どうして小学生は体より大きなランドセルを持っているのですか。(韓国)
A.  ランドセルは小学校に入学するときに両親が買うか、祖父母からプレゼントされることが多いです。また、ランドセルは丈夫なかばんですから、小学校の6年間、使い続けます。ですから、入学したての一年生にはすこし大きく見えますね。逆に卒業間近の6年生が背負っていると、とても小さく見えることもあります。なぜ、大きくて丈夫なかばんが必要かというと、日本の小学生は教科書を学校に置きっ放しにせず、毎日家に持ち帰るからです。また、ランドセルは背負い式で両手が自由に使えるので、安全で便利な通学かばんとも言えます。最近では交通安全のための黄色いカバーをつけて、子どもたちを交通事故から守る役割も果たしています。もともとランドセルは、江戸時代の終わり頃に軍隊用のかばんとしてオランダから伝わり、明治時代の初期に小学生の通学用のかばんとして採用され始めました。ランドセルということばもオランダ語の「ransel」がなまったものです。
Q.  どうして日本人の中学生はいつも制服を着ているのですか。(アメリカ)
A.  中学生が制服を着るのは、通っている中学校の規則=校則で決められているからです。制服は所属する学校を示すとともに、親の経済力の差に左右されない服装という意味がありました。昔は「外出時は制服を着なければいけない」という厳しい校則もあったようですが、現在では「通学時に着用」と定められていることが多く、制服は通学服とも呼ばれています。プライベートでは自由な服装(いわゆる「私服」)を着ている場合が多いようです。

日本の男子中学生・高校生(1950年代頃までは大学生も!)が多く着ているハイカラーの「詰襟」は、明治時代の軍服の影響を受けています。近年ではブレザー型のものも多くなっているようです。

外国人の大疑問トップへ


  • アルコムワールドで日記を書く

メルマガ登録

JSST

アルクオンライン日本語スクール

アルク日本語教育公式Facebookページ