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回答 水谷信子(明海大学教授)

 2 発音を直すタイミングについて教えてください。

Q
  発音を直すタイミングについて教えてください。なんとなく機を逸してしまって直せずじまいとなり、困っています。
 
A
 

 発音を直すタイミングについて苦労しておられるのは、学習者の気持ちを大切にしておられるからだと思いますが、わたし自身がこれまで考えて実行してきたことを少しお話しします。発音は入門期に指導してよい習慣をつけ、その後も訓練を続けるのがいちばんですが、実際にはよくない癖がついてしまった学習者を指導しなければならないことが多いものです。また、クラス作業の中であると、ほかの学習者を差し置いて一人に集中して指導できないという悩みがあります。また、発音を直されると学習者がほこりを傷つけられたような気持ちになる場合もあります。

 そうしたマイナス面を避けるための一つの方法は、授業中にいちいち学習者個人を直すよりも、一定の発音指導の時間帯を設けてクラス全体の指導を行うことです。たとえば50分の授業なら毎回必ず最初の数分間は発音練習にあて、このときはほとんど説明をせず一種のリズム体操のような訓練をします。できれば毎回中心的なテーマをきめて重点的に行います。一つの例として、長年実行して効果のあった練習方法をご紹介します。"An Introduction to Modern Japanese"という初級教科書の中の各課の最後にも出しましたが、その第1回は次のようなものです。ABCのうち、Aの1から12の前半だけここに出します。

 Bは単語、Cは文のイントネーションの練習で、ここでは略します。Aは無意味音節の連続で、ひらがなよりローマ字のほうが狙いがはっきりします。1.から12.まですべて最初が a-i、o-i、e-i と二重母音のようになっているのは、拍感覚を強めるためです。たいていの外国人学習者は、日本語で母音が続くとき2つの母音を一緒にして2つ目を弱くする傾向があり、「か・い・わ」を3つの拍にせず「kai-wa」のように2拍にしてしまうものです。この習慣を直すための練習で、アクセントの印(「)をつけて2拍目を上げるようにすることも2つの母音を区切りやすくするためです。拍の長さのほか、「ん」や促音の発音、有声/無音と有気/無気などいろいろな問題ごとに練習させるのもいいでしょう。時間帯をきめ、ほかの文型練習や会話の練習などのときには発音の矯正は最小限にし、その日のテーマとして最初に練習した点をあとでも簡単に言及する方法で効果を上げることもできます。

 
 

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