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回答 水谷信子(明海大学教授)

 3 クラス内で学力差がある場合、指導面での工夫は?

Q
  ひとつのクラスの中によくできる学生とそうでない学生が混じっている場合、指導の面でどんな工夫をしたらいいでしょう。
 
A
   学力差の大きいクラスを指導する苦労は日本語教育の場合には限らないと思われますが、日本語教育では学習者の背景が多様であったりするという問題が加わります。漢字圏と非漢字圏の学習者が混じっている場合のことを尋ねられた質問もありました。実は各地の日本語の先生方の悩みを聞くと、学力差と学習者数の多さの問題が最も多いのです。学力の似た学習者を集めるためのプレースメントテストのことはよく言われますが、現実としては学力差のないクラスを教えるという幸運は非常に少ないと言わなければなりません。
  1. 学習者の理解を得る:具体的な方法も大切ですが、複雑な教室運営を成功させるために精神面・情緒面で学習者が互いに協力的であり積極的であることが大切です。学力差を超えて全員がクラス活動で伸びていくために、教師と学習者、学習者同士の協力が大切であることについて学習者の理解と納得を得ることは、実行が困難ではありますが、必要なことです。
  2. 進んだ学習者の扱い:力のある学習者が退屈したり無駄に時間を過ごしていると感じたりしないようにするには、別の課題を与えて提出させることや、他の学習者の手伝いをさせることが考えられます。課題は教師の負担にならない程度に目を通して返します。他の学習者の手伝いをさせるというのは、練習問題などの正答を教師が与える前に進んだ学習者に言わせてから全員に言わせるなど、助手的な役割を分担させることです。また4のグループ活動の指導的な役割も果たしてもらいます。漢字圏の学習者が非漢字圏に漢字を教えたりすることも考えられます。
  3. 遅れている学習者の扱い:最低限の課題をこなすように要求し、教室で出番を与えます。書いたものを提出させてもいいのですが負担が大きいので、文型練習などで練習してきた基本的な型を言わせるなど、必ず言えて自身が持てるような課題を選ぶ配慮が大切です。
  4. グループ活動:これは学習者の学力差や多すぎる人数を解決するために先生方が採用している方法で、数個のグループに分け課題を与え発表させる方法です。グループの中で学習者同士が意外にうまく役割分担をして効果を上げることも多いようです。もちろん母語の違いなどでうまくいかないこともありますが、学習者の能力は信頼すべきです。

 ――今回のことでも他の回のことでも、実行してみてその効果や問題点をぜひこの欄でご報告ください。水谷信子の相談室でなく皆さんの相談室にしたいと思います。

 
 

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