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回答 水谷信子(明海大学教授)

 7 文法事項を効率よく教えるコツを教えてください。

Q
  文法事項について「効率よく教えるコツ」を教えてください。
 
A
 

 まず、文法事項を「効率よく教える」とはどういうことであるかを考えることが必要です。「文法は大事だから教えなければならない」という観念にとらわれていないでしょうか。学習者は「文法」に関心があって教室に来ているのではありません。日本語が使えるようになるために来ているのです。文法事項の説明に時間をとって、ほかの教室活動、例えば文型を使った会話やスキットによる演技などができなくなっては本末顛倒です。日本語を効率よく「身に付けてもらう」ための事項であること、文法として「理解」することより、その事項の入った文が発話できるようになることが第一です。

 「は」と「が」の練習について簡単な例を挙げます。教室の隅の椅子の上などに派手な表紙の漫画の本を置きます。学習者に向かって教師が、
  ――あそこに 本が ありますね。
と話しかけます。そのあと学習者のそばに立って
  ――そうですね。あそこに 本が ありますね。
と言い、同じことを言うように促します。学習者がすでに進んだ段階であれば
  ――そうですね。あそこに きれいな/おもしろそうな 本が ありますね。
などと言わせてもいいでしょう。次に教師は隅の椅子のそばへ行って本を取り上げ、
  ――これは まんがの 本ですね。
  ――これは おもしろそうですね。
  ――これは だれの 本でしょうね。
  ――これは まだ 読んだ ことが ありません。
などいくつかの「は」を使った文を言い、言わせます。このあと学習者一人一人に前に出て同じことをさせます。ただ言うのでなく体を動かして本を取りに行ったり、本をめくったりすることが大切です。説明は必要ありません。学習者がアドリブで「これはきっとAさんのです」「これは300円です」など、加えることができれば大成功です。

 「は」と「が」の用法はもちろんこれだけではありませんが、学習者がこの基本的な違いを身をもって理解すれぱ、ほかの用法の違いも受け入れやすくなるでしょう

 
 

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