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回答 水谷信子(明海大学教授)

 8 「そこをまがる」と「そこでまがる」の違いの教え方は?

Q
  「そこを右にまがってください」と「そこで右にまがってください」はどう違うかという質問を受けました。辞書には「を」は"at"、「で」は"in"とあるのですが、よく理解できません。学生は入門期です。
 
A
 

 まず基本的な違いとして「を」は動作の対象を示し、「で」は動作の場所を示す、というように説明されています。実際に学習者の使い方を見ていますと、どちらも、すぐ習得できる用法とそうでない用法があります。

 「を」は少し詳しい説明書では(1)動詞の目的語に当たるものをさす――お茶を飲む、字を書く。(2)動作の出発点を示す――家を出る、学校を卒業する。(3)移動の空間を示す――空を飛ぶ、道を歩く。のように分けるのが一般で、(1)は学習しやすいが(2)(3)は学習が遅れる、というように説明してあります。これでだいたい十分ですが、いくつかの動詞の場合はどうして「を」を使うのかわかりにくいものがあります。
  角をまがる
  学校を休む
  人を待つ
  家族を思う
などでしょう。特に英語を当てた場合 turn at the corner, be absent from school, wait for someone, think of one's family のように、英語では自動詞プラス前置詞の形でつけて使うものです。しかし「角」「学校」「人」「家族」などをそれぞれ動作の対象と考えれば、「を」の用法は(1)の動作の目的語に近いものとなります。日本語の「を」は動作が向かう対象となるものとすれば「まがる、休む」などは「を」を使うのが自然で、(2)(3)の用法も動作の向かう対象という点では基本的には共通していると言えます。

 「で」は動作が行われる場所を示しますから、鳥が「空で飛んでいる」とも「空を飛んでいる」とも言えます。ただ「で」の場合は空の一か所を飛び回っている感じ、「を」は空を貫いて飛ぶという印象を与えます。「あそこでまがるという動作をする」のなら「で」に、「あそこで角をまがる」という意味なら「を」になります。一般には「を」使いますが、
  あそこ、角まがってください。
という意味で「角を」を省略してしまうこともあり得ると思います。

 
 

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