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回答 水谷信子(明海大学教授)

 20 「海外へ(の)旅行」と「の」を落とす学習者が多いのはなぜ?

Q
  「海外へ(の)旅行は初めてです」と「の」を落とす学習者が多いのはどうしてでしょうか?
 
A
 

 方向を示すときには「へ」を使って
「海外へ行く」
と言います。これは、後に「行く」という動詞があるので、動詞文です。
 これに対して
「海外への旅行」
は、「海外への」が「旅行」という名詞を修飾しています。
「海外へ行く旅行」
と言ってもいいのですが、「行く」を省くと代わりに「の」が必要になります。同様に、
「学校へ行く道で山田さんに会った」
は、
「学校への道で山田さんに会った」
と言うことができます。
 この場合「の」を落として
「学校へ道で山田さんに会った」
というのは変に聞こえます。

 学習者からよく「の」を入れるのか、入れないのかという質問が出るのは、一つは英語の影響かと思います。例えば、behindは
I stood behind him.(後ろに立った)
People behind him could not see it.(後ろの人はそれが見えなかった)
のように、英語では同じ形になります。

 これは「の」の使い方の問題ですが、ほかにも助詞などに「の」が付いて後の名詞を修飾する例には、「学生との話し合い」「子どものための設備」などがあります。このような場合に「の」を落としてしまう学習者は、英語圏以外でも多いようです。これは、やや進んだ段階の表現としての練習が十分に行われていないためだろうと思われます。

 
 

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