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回答 水谷信子(明海大学教授)

 21 「~てもらいました」「~てくれました」「~てあげました」の使い方は?

Q
  「~てもらいました」「~てくれました」「~てあげました」といった感謝の意を含んだような表現の使い方は?
 
A
 

 「~てもらいました」「~てくれました」「~てあげました」といった表現を、一般に「やりもらい表現」といいます。

 Qには出ていませんが、お手紙によれば質問者は「教え方がわからなくて悩んでいる」が、学習者は「聞き取りはできるし、文法もほとんどわかっている」とのこと。この二つの事実は大切です。学習者は多分日本で生活している人でしょうから、やりもらい表現をいつも耳にしていて、使い方がかなりわかっているのではないかと思います。質問者の方のほうが、やりもらい表現の捉え方に、何となく自信が持てないのではないでしょうか。

 「感謝の意を含んだような」とありますが、「ような」とされたのは鋭い指摘です。私自身が学習者から聞かれる質問は、必ずしも感謝すべき行為でなくてもこうした表現が使われているのはなぜかということです。「雨がやんでくれてよかった」「うちの子は健康に育ってくれた」などは、雨や子どもには話し手に対する好意があるわけではないし、「くれて」を省いてもおかしくありません。やりもらい表現を使うのは「感謝だけ」とせまく考えるより、話し手の立場からの感謝や喜びの気持ちが入っている場合と考えたほうがいいでしょう。話し手の感情が問題なので、客観的な叙述には入らないということを理解してもらうことが大事です。

 「AさんがBさんに教えました」というのは、第三者の立場から客観的に報告する形で、それを聞いた人は、「ああ、そうですか」と言うだけでしょう。Bさんが話すときは、通常「Aさんに教えてもらいました」とにこにこしながら言うし、聞いた人は「よかったですね」と言うでしょう。学習者が感謝や喜びの気持ちをもって話すべきだと期待されているときにやりもらい表現を使わないと、日本人に違和感を与えたり、敵意や不満があるのではないかと疑われたりします。やりもらい表現を使うのが普通の場面では、使えるように訓練しておくことが教師の務めでしょう。

 
 

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