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回答 水谷信子(明海大学教授)

 24 「きたそうだ」と「きたのだそうだ」はどのように違いますか?

Q
  「おばさんの家にパンフレットが送られてきたそうだ」と「おばさんの家にパンフレットが送られてきたのだそうだ」は、どちらも意味は変わらないように思いますが、どういった違いがあるのでしょうか。
 
A
 

 教えている対象や環境がわかりませんが、類似の質問が多く来ていますので、お答えしたいと思います。例にあがっている文はやや長いので、「きた」と「きたのだ」の部分に限って考えると、「のだ」の問題になります。

 「かぜを引きました」とも「かぜを引いたのです」とも言います。また、「寒いです」と「寒いのです」と両方の言い方があります。これを「のだ」という名称でひとつの文法項目として考えることができます。例えば冬の朝、人に合ったとき「寒いですね」と言いますが、「寒いんですね」とは言いません。「いいお天気ですね」と言うかわりに「いいお天気なんですねと言ったら、相手はちょっと変な顔をするでしょう。

 「のだ」のない文は事実や印象をそのまま述べていますが、「のだ」がつくと、その事実などがある状況の説明になります。つまり、「寒いですね」は今温度が低いことを言っていますが、「寒いんですね」は、例えばテレビの画面などで人が厚いコートを着ているのを見て「ああ、寒いからコートを着ているんですね」と状況を説明したり判断したりしたときに言います。ですので、時候のあいさつには「のだ」は不適切です。「かぜを引いたんです」は事実をただ述べるのでなく、「なぜ休んだのか」と聞かれた時や、「ばかに厚着をしているね」と言われたときなどに言います。「おばさんの家にパンフレットが送られてきたのだそうだ」は、なぜおばさんがそのイベントのことを知っているかなどを説明するときに使われる形です。

 「のだ」はある状況を念頭に置いて使うものですから、単純な質問に使うと不適切になることがあります。「結婚していますか」は単純な質問ですが、「結婚しているんですか」と言うと、相手が早く家に帰りたがっているような状況を念頭に置いた印象になります。あるいはある状況に対する意外な感情を表します。「知らないんですか」というと「あきれた」という含みになったりします。要するに、「のだ」文は単純な記述ではなく、ある状況を考えて言っている文だということになります。自分がどんな時に「のだ」を使っているか、考えてみるとおもしろいと思います。

 
 

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