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回答 水谷信子(明海大学教授)

 27 「はい」のあとは肯定文、「いいえ」のあとは否定文?

Q
  今、韓国で日本語を教えています。「はい」のあとは肯定文、「いいえ」のあとは否定文がくると教えているのですが、「韓国語では『行かない?』『食べない?』のように否定文で質問した場合「はい」と答えた後でも否定文がくるのに、日本語は違うんですね」と言われました。どう答えたらいいでしょうか。
 
A
 

「はい」のあとは肯定文、「いいえ」のあとは否定文という規則はあるでしょうか。

「はい」や「ええ」の後に否定文がくることも、「いいえ」や「いや」のあとに肯定文がくるのも普通です。「行かないんですか?」に対し、行かないのなら「はい、行きません」で、行く場合は「いいえ、行きます」となります。このためよく日本人が英語の否定形の質問に間違った答えをする、Aren't you going?――Yes, I am. /No, I'm not. とするべき時に「はい、行きません」という日本語に引きずられて、Yes, I'm not going. と答えてしまう、と言われます。英語では Yes で始まった文に否定形が続くのは不適切に響きます。それで、日本語を習い始めた英語圏の人が「ご主人はお留守ですか――はい、おりません」というようなやりとりに違和感をもつようです。

これは Yes と No が次の文が肯定か否定かによって決まるということで、いわば Yesと No は文法的な性格を持っているということです。それに対して日本語では(韓国語でもそうでしょうが)「はい、いいえ」は相手の質問の内容に添っているかどうかによって決まるのです。ですから、「行かないのだろう」と相手が期待していると思う場合は「その通りです」の意味で「はい」と答え、期待に反すると思う場合は「いいえ(行きます)」となるのです。

ただ、これは形だけでなく質問の意図にもよります。行くか行かないかという事実を問う場合は上のようになりますが、質問が誘いである場合は、行ってほしいという期待に添うのですから、「行きませんか――はい、行きます。いいえ、行きません(残念ですが)」となります。「はい」は Yes でなく「おっしゃる通り」と考えれば混乱は起きないのではないでしようか。

 
 

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