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回答 水谷信子(明海大学教授)

 28 「読みませんでした」「読みません」「読んでいません」はどのように違いますか?

Q
  以下のA~Cの3つの文の違いがよくわかりませんので教えてください。
田中:今日の新聞をもう読みましたか。
A:いいえ、読みませんでした。
B:いいえ、まだ読みません。
C:いいえ、まだ読んでいません
 
A
 

答えのAは不適切です。「読みませんでした」というのは、過去のある時点で読まなかったという事実を述べているのですから、「もう読んだか」という質問の答えにはなりません。この答えが実はよく学習者から出てきます。「お昼、もう食べましたか」と聞くと「いいえ、食べませんでした」という答えが返ってくることがたびたびあります。これは、「~ましたか」に対して否定なら「~ませんでした」と答える習慣ができあがっているためだと思われます。「きのう家にいましたか――いいえ、いませんでした」のように、過去のある時点についての応答としては適当ですが、「まだ~?」は現在の状況についての質問ですから「~ませんでした」という答えは不適切です。

Bの「まだ読みません」とCの「まだ読んでいません」は、どちらも適切な答えになり得ますが、ではどう違うのでしょうか。こういう問題については、その後に文をつけ加えて考えるのがいいと思います。「もう読みましたか」と聞かれて「まだ読みません」といった場合、その後にどんな文が来るでしょうか。「後で読みます」とか「これから読みます」というような文が自然でしょう。それに対して「まだ読んでいません」の後には「後で読みます」とか「これから読みます」でもいいのですが、そのほかに「おもしろい記事がありましたか」「何か事件があったのでしょうか」のような文が続く可能性があります。「まだ読んでいないので、ニュースを知らない」という含みがあり得ます。「まだ食べていません」というと相手が「じゃ、おなかがすいたでしょう」というかもしれません。

BとCの違いをいえば、Bは動作が終わったかどうかに重点があり、Cは現在の状態に重点があると考えることができます。こうした違いについてはアスペクトに関する説明を読むことも役に立ちますが、母国話者であることを生かせば、前後の関係、とくに後にどんな文が来るか考えてみるとわかってくるのではないでしょうか。

 
 

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