Presented by NAFL日本語教師養成通信講座
回答 水谷信子(明海大学教授)

 15 大きい古時計と大きな古時計の違いは?

Q
  現在、ボランティアで日本語を教えています。ちょうど初級の形容詞を教えているのですが、学生から「大きい古時計」と「大きな古時計」はどう違うのかと聞かれて困っています。どのように答えればよいでしょうか。(学習者の国籍は中国。レベルは初級前半)
 
A
 

 「大きい」はいわゆるイ形容詞で、「大きいです」「大きくなる」「大きい町」のように形を変えます。これに対して「大きな」は名詞につくときは「大きい」と同じように直接つくので形容詞のように見えますが、形容詞と違って名詞の前以外に使わないので特殊なものとして、一般に「連体詞」と分類されています。名詞の前にしか使わないものにはほかにどんなものがあるか、考えてみてください。「小さな」「ある(ある人)」「あらゆる」などそうですね。

 さて「大きい」と「大きな」は「〜古時計」の例のようにどちらも同じように名詞の前に使われることもありますし、慣用的にどちらかが多い場合があります。慣用的には
  「大きな顔をする」
  「大きな口をきく」
  「大きなお世話だ」
など「大きな」が一般的です。また、抽象的な語については「大きな」がよく使われます。
  「平和の維持は大きな問題だ」
  「博士の大きな業績にはだれでも頭がさがる」
など、「大きい」でもいいのですが「大きな」のほうが多いでしょう。それに対して、具体的に大きさ、つまりサイズを問題にした場合、
  「もっと大きいのはありませんか」
  「あげものには大きいフライパンのほうがいい」
のように「大きい」が多いようですが、これは絶対とはいえません。

 学習者が初級である場合、こうした違いはあまり重要ではないと思われます。ですから「意味は同じであるが、『大きな』は名詞の前にしかつかない」ということを理解させることが大切でしょう。

 
 

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