世界の日本語教室から
海外の日本語教育の現場レポートをお伝えします。
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世界の日本語教室から
国際交流基金が世界各地に派遣した日本語教師の方々の、日本語教育現場レポートをご紹介します。
中込 達哉さん(国際交流基金派遣経験者)
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人口:
約3,700万人
首都:
ナイロビ
公用語:
スワヒリ語、英語
日本語学習者数:
439人
日本語教師数:
17人
日本語教育機関数:
8機関
林立するビル、交通渋滞、路上物売り、携帯片手のビジネスマンたち、人口約300万以上といわれるナイロビは、都会である。
ケニアでは、ケニヤッタ大学を含む4つの高等教育機関、そして民間観光専門学校7校で、初級日本語が教えられている。いずれも選択科目である。ケニア人教師の中から、ようやく日本語能力試験二級合格者が、学習者からは三級合格者が出はじめた、「日本語教育発展途上国」である。
ケニアで日本語を教えはじめて、驚いたことがある。コース開始時、学生たちは半数以上が授業に遅れて、ぞろぞろとやって来る。そして、誰も何も言わずに堂々と着席する。私と目があっても、無言である。知り合いと派手な握手を始める者までいる。Sorryのひと言ぐらいは期待してみるが、見事に裏切られる。
コースを始めるたびに学生に問うのだが、ケニアでは遅れるのは当たり前なので、全く問題ないそうだ。日本では、遅れたら、「すみません」と言って、会釈ぐらいはする、ということを教え、全員を教室の外に出し、一人ひとり練習する。翌週も翌々週も繰り返し練習する。新学期は、数週間をかけて、日本語と共に、習慣の違いを体で学んでもらう。
概してフレンドリーなケニア人であるが、そのフレンドリーさゆえ、さまざまな場面で失礼な印象も与えかねない。学生たちには将来、日本人に接する際に、「好印象を与える」日本語や態度を身に付けてほしいと願っている。
ナイロビ郊外にあるケニヤッタ大学の正門をくぐると “ELIMU NINGUVU” の文字が見える。大学のモットー「教育は力」である。
ケニアの学習者たちは、就職の一助になればと、「夢」や「希望」を抱き、日本語を始める者が多い。しかし、現実は甘くはない。それでも、少しでもチャンスにつながるのなら、やってみるのが彼らの流儀である。彼らが希求する「夢」や「希望」をはぐくみ、「教育は力」につながる日本語教育が花開く日を、帰国後の日本から見守りたい。
※
本レポートは『
月刊日本語
』2008年7月号に掲載した国際交流基金レポート「世界の教室から」が元になっています
※
「日本語教育の現場レポート」は『
世界の日本語教室から 日本を伝える30カ国の日本語教師レポート
』(アルク刊)から転載したものです。
※
各国基本情報は、外務省「各国・地域情勢」を参照しました。日本語学習者数、日本語教師数、日本語教育機関数は、国際交流基金が3年ごとに行っている「日本語教育機関調査」の最新調査(2006年版)の数字です。
世界の日本語教室から
―日本を伝える30カ国の日本語教師レポート
本書は、『
月刊日本語
』に長年連載したものをもとにし、国際交流基金が海外30カ国に派遣した日本語教師が活躍する姿を通して、海外の日本語教育の状況全体と、リアルな日本語教室の様子がわかるようにまとめあげたものです。各レポートには、各国の日本語教育歴年表、対日関係や日本語学習者数・教師数・機関数などの基礎データ、文化紹介などさまざまな情報が盛り込まれています。
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