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第196話でもご紹介したように、ここのところ“健康”づいているタイ。それに更に拍車をかけるような新しい法律が、先週の25日から施行されるようになった。
それは、たばこのパッケージの刷新である。日本でもたばこには、「あなたの健康を損ねるおそれがありますので吸いすぎに注意しましょう」といった注意書きが表示されているが、タイのはもっと露骨で、「たばこの煙は人を殺すことができる」、「老化を早める」などといった数種類の警告文が以前から表示されていた。しかし、そんな文言にひるんでたばこを買うのを止めようとする人なんているのか?というのが、たばこを吸わないワタシの感想である。喫煙が自分の健康をおびやかす危険性があるということがわかっていても、喫煙者はいちいちそんなことを気にしながらたばこを買ったり、吸ったりしないのではと思うからだ。
今回のパッケージの刷新は、たばこの害をもっと視覚的に訴えて、喫煙人口を減らそうというのが目的なのか、6種類の文言を写真で表したものが加わることになった。たばこの製造・輸入業者には、この写真の使用が義務づけられ、違反した場合には罰金10万バーツの措置が取られる。写真は「喫煙すると肺気腫で死ぬ」の文言のパッケージで、なにやら管をいっぱい体に付けられた病床の男性が写っている。他に、「たばこの煙は肺がんを引き起こす」という文言があるのだが、その写真は人間の胸部を開いて肺がんそのものを見せるといった、かなりグロテスクなものになっている。ここまで来ると、ほとんどホラーである。コンビニではレジの後ろにたばこの陳列棚があるのだが、その一角がおどろおどろしい写真でいっぱいになっていた。事故現場やその遺体が新聞の一面にでかでかと載ってしまうタイならでは、といった感じもしなくない。
ワタシの感じる範囲では、タイの喫煙人口は日本のそれよりも少ないような気がするのだが、それは「喫煙する」という行為が、独特の偏見を持って見られているからではないかと思う。ホワイトカラーの人であれば、男性でも喫煙する人はぐっと少ないし、女性であれば皆無といっていいだろう。喫煙するという行為が、野蛮というか、肉体労働的なマイナスイメージを含んでいるという感じだ。女性であれば、喫煙する人イコール夜の職業という印象を与えてしまうよう。とはいっても、ホワイトカラーの人でも激務に追われるような人は、相当にたばこを吸うらしい。日本の広告代理店の方に聞いた話だと、タイ人でも広告業界にいる人は喫煙率が高いとか。深夜までミーティングをしたり、クライアントとの折衝で疲れたりしたときの一服は、まさに清涼剤というべき存在なのだろう。女性でも、ナイトスポットなどで出くわす今どきの若い女の子は、お酒もたばこも普通にたしなむし、明らかにティーンエイジャーとわかる女の子たちが歩きたばこをしているのを見かけることもある。そういった女の子たちが夜の職業に就いているとは思わないが、少なくともプラスの印象は持たれないのは確かである。
そういったイメージのあるたばこは、テレビや映画の中で小道具として使われる場合にはモザイクがかかってしまうし、レストランやオフィスといったエアコンの入る室内は法律で全面禁煙となっていて、仮に喫煙した場合には罰金措置が取られることになっている。そして今回のパッケージである。これでもか、これでもかと喫煙行為を排除しようとするなら、いっそのこと、国全体でたばこの製造・販売を止めてしまったらと思ったりするのだが……。
かくいうワタシの相方は喫煙者である。家でたばこを吸うときは、ベランダに出て吸っている。ワタシがうるさく言うので、一時期止めようと努力したこともあるのだが、仕事が忙しいだの、ストレス解消法がないだのを理由に、なんとなくずるずる今日まで来てしまっている。そのくせ、健康診断の前には、「胸部レントゲン、大丈夫かな」などと心配する小心者である。新しいパッケージのたばこは、果たして相方の喫煙行動に何らかの影響を与えることができるのか? ま、健康のためには、自分の意志できっぱり断煙できるのが一番なのだけれど。
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