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元・女子総合格闘家アネゴが我が家にホームステイを始めたその翌日。2週間ほど前から調子がおかしくなっていた洗濯機がついに昇天した。日系電機メーカーのそれは購入してから約5年(!)で壊れた計算になるが、1日に2回、3回と洗濯する日があるハードウォッシャーな我が家でよく頑張ってくれたと思う。以前の住まいではベランダに置いていたので、雨やほこり、そしてタイの強力な直射日光にさらされてかなりくたびれた外観をしていたので、引っ越しのときに新居にふさわしい洗濯機に買い替えるはずだった。ところが、相方に「まだ十分に使えるものをなんで捨てるのか」(第210話参照)と言われ、ワタシは故障するまで使うことをしぶしぶ承諾したといういきさつがある。だから今回の洗濯機の故障は、「困った!どうしよう……」というより、「これでやっと買い替えられる♪」と、うきうきとした気分で臨めたのである。
その洗濯機は、6キロ容量の二層式洗濯機だった。二層式洗濯機なんていう代物は、今の日本の家電売り場で見かけることはまずないだろう(ネットで調べてみたらメーカーは販売しているようだが、そのニーズはいかに?)。ところが、タイの量販店の家電売り場では、洗濯機売り場の約半分を二層式が、残りの半分を全自動が占めるといった具合だ。以前は、全自動は二層式の2倍弱の値段だったが、最近は二層式でも洗濯層が大きいものは値段が張り、全自動でもどこの国のメーカーかよくわからないようなのは値段が安くなり、その差はそれほど大きくなくなった。
ワタシは小学生の頃から、母親に「お手伝い」と称していろいろな家事を手伝わされていた。玄関の掃き掃除に始まり、トイレ掃除、食器洗い、父親の靴磨きをしていたこともある。その中で、小学校の高学年か中学校の頃に必ずやらされていたのが洗濯である。正確に言えば、洗濯そのものは洗濯機がやってくれるので、洗い終わったものを干すのがメインの仕事だったのだが、その頃に実家で使っていたのが二層式洗濯機だったので、なぜかこのタイプの洗濯機に愛着が沸いてしまう。その後、実家の洗濯機も全自動に買い替えられ、ワタシも親元を離れて自分で全自動を買って使っていたこともあるが、タイに来てみて、二層式の洗濯機がまだまだ現役ということがわかり、買うときは迷わず二層式に決めた。年中温暖なタイでは、水が冷たくて洗濯するのがツライということもないし、すべてを機械にお任せではなくて、途中で人の手をちょこちょこ入れられるアナログな部分が逆に使いやすかったりするのだ。
洗濯機が壊れたその日に近所の大型スーパーに行き、家電売り場に駆けこんだ。日系電機メーカーの二層式で、壊れたものと同じくらいの容量のものを探したのだが、大型洗濯機が流行なのか、8キロが標準的な大きさで、なんと10キロというものもあった。その中に6キロのものが一種類あったのだが、ボディの色が鮮やかな水色ということで却下になった。古い洗濯機は家の裏手に置いて、以前と同じように雨風にさらしながら使っていたのだが、今回はキッチンカウンターの隣に確保した専用の置き場に置く予定になっていた。キッチンの棚やタイルが白で、冷蔵庫がシルバーグレーなのに、鮮やかな水色では明らかに浮いてしまう。結局、古い洗濯機と同じメーカーの8キロ容量のものを買うことに決めた。ボディの色は薄いグレーで、値段は6,990バーツだった。
タイでは洗濯機そのものが一般家庭に普及しているとは言えず、未だに洗濯物すべてを手洗いしているところも多い。我が家の裏手からも、毎朝、水の中で布に洗濯ブラシをかけるシャッシャッという音が聞こえてくる。洗濯機のほうが手間要らずなのは明らかなのだが、「機械で洗って汚れがきれいに落ちるのかしら」という疑問を感じて、手洗いしている人も多いのだとか。ワタシの母親曰く、大正生まれの母方の祖母が同じことを言ったらしいから、時代の隔たりを感じてしまう。今の日本で、同じようなことを考えて洗濯物を手洗いしている人はまずいないだろうから。
古い洗濯機が故障する直前に、まだ動いていた洗濯機をのぞいたアネゴが、洗濯層の表面に盛り上がる洗剤の泡を見て、「洗剤を入れ過ぎているのかと思った」と言っていた。泡立ちを抑えてすすぎの水を節約しましょうという低発泡洗剤の動きはタイにはなく、洗剤はできるだけ泡立ちがよく、しかもはっきりとわかるさわやかな香りがついているほうが好まれるようだ。洗剤に備えつけのスプーンで規定通りの量しか入れていなくても、グォングォンと洗濯機が回るうちにたちまち泡が盛り上がる。すすぎが終わったら、これまたはっきりとした香りの柔軟剤で仕上げをする。柔軟剤はコロンの役割も期待されるのか、ひとつのブランドでも香り別に3〜4種類の商品が売り場に並んでいる。
さてさて、タイトルの「TOKYO JAPAN」。こう明記してあるとタイ人は喜ぶのか、メーカー名の下にこんなふうに書いてあった(写真)。タイのバンコクで販売されている洗濯機が日本の東京で製造されているわけもなく、生粋の日本人にはただただ気恥ずかしいばかりである。
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