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来月、母がタイに遊びにやってくることになった。年に1回の割合でヨーロッパを中心に海外旅行に出かけている母だが、いつも添乗員付きの至れり尽くせりツアーを利用しているので、自分で航空券を予約して、宿を決めて……というスタイルの旅に慣れていない。今回はバンコクに入ったあとにワタシとチェンマイに行くので、移動の航空券と現地でのホテルを予約する必要があったのだが、ちゃっかり、「日本からの航空券も予約しておいてね」と言われる始末。
インターネットの格安航空券を扱うサイトで空席状況を確認し、母の予定と合わせて予約を開始。ワタシはタイ国際航空か日本航空を抑えるつもりだったのだが、期せずして全日空で時間的に良いフライトがあることを発見。空席も残り6席ということで、さっさとそれを予約してしまうことにした。航空券の料金が 72,000円とあったので、格安ではないけれどまあまあかなと思っていたら、予約確認のメールを見てびっくり。 72,000円は航空券基本運賃のみの料金で、その他に航空保険料を含む燃油サーチャージが20,600円、そして空港使用料がプラスされて合計で94,640円という金額になってしまった。これだったら、バンコクで呼び寄せ便(海外在住者が家族や親戚を招待するために利用する航空券)を予約したほうが安上がりだったかなあとしばし後悔。だが、ワタシが予約した航空券は「予約後72時間以内に発券する」ことが条件だったので、既に後戻りすることはできないのであった――。
11月1日から来年の1月末まで、「ロイヤル・フローラ・ラーチャプルック2006」という国際園芸博覧会が開催されるチェンマイ。「チェンマイ行きの航空券やホテルが取りにくくなっている」という噂を聞いていたので、希望の日程が取れるかちょっと心配していたのだが、タイ国内はタイ国際航空の他に、数社の格安航空会社が就航しているので、まったく取れないということはないだろうとネットで検索を開始。個人的にはスワンナプーム新空港へ行ったときに利用したオリエンタルタイ航空(第267話参照)が良かったのだが、希望の時間帯の便が取れなかったので、泣く泣くノック・エアーを利用することにした。鳥のくちばしがロゴになったこのノック・エアー、昨年末のラオス旅行(第238話参照)で利用しているのだが、最終日のバンコクへの便が悪天候でもないのに1時間以上遅延したので、正直言ってあまり良い印象がない。とはいっても、観光客がチェンマイへ続々と押し寄せるこの時期にあれこれ贅沢は言っていられなかった。
サイトからオンライン予約をすることもできたのだが、かつてタイのサイトで支払いにクレジットカードを利用したことがないので、決済方法の選択にしばし躊躇(ちゅうちょ)する。なんせ、クレジットカードが盗難の被害に遭わなくても、偽造カードが作られてしまった経験(第194話参照)をしているだけに、ノーサインのカード利用は絶対に避けたいと考えていたからだ。そこでコンビニでの支払方法を選ぶと、次は「パスワードを入力してください」という画面が出てきて、コンビニ決済にはパスワードを別に取得しておく必要があるのだとわかる。なんだか面倒くさい。ふと、近所の大型スーパーに旅行会社のカウンターがあったことを思い出し、そこで予約も支払いも一度に済ませてしまおうと出かけた。
ところが、カウンターにいたのはやる気のない若い女性がひとりだけ。「ノック・エアーの航空券を予約したい」と告げて、便名はこれとこれねと言うと、彼女はPCのモニターに向かったのだが、すぐに、「ピー(年上に対する親称)、向こうのサーバーがダウンしているみたいで予約できないわ」と言う。モニターをのぞきこむと、個人客が利用するサイトとまったく同じURLを開いている。要するに、自分で直接予約をするか、旅行会社の社員に予約をさせるかの違いで、旅行会社だからといって独自レートがあるわけではないのだ。しかも、彼女が言うところの“サーバーダウン”は、プロバイダの回線速度が遅くなったがために画面表示がされないだけで、航空会社の予約サイト自体がダウンしているわけではない。「格安航空会社のサイトだからね、いつもこんなもんよ」とだるそうに話す彼女にそれ以上託す気になれず、結局電話で予約を入れることにした。
電話での予約で手間取るのが、名前のスペルを一字一字、相手に確認を取りながら伝えていく作業である。日本語であれば、「ヒトミ」は「HITOMI」以外にあり得ないので、相手に名前を告げるだけでローマ字に直していってくれそうなものだが、相手はタイ人。しかも、ただでさえ馴染みのない外国人の名前ときている。そこで、お互いにスペルを間違えないようにするために、「ドはドーナツのド」方式を利用する。「HITOMI」であれば、ホンコンのH、インドのI、タイランドのT、オスカーのO、マレーシアのM、インドのI……といった具合になる。ちなみにオスカーとは、国際的な映画の賞のことである(アカデミー賞のこと。タイ人はなぜかオスカー賞と呼んでいる)。MとN、HとSなど、タイ語的な発音では混乱しやすい文字も、「マレーシアのM」「ノルウェーのN」、「ホンコンのH」「シンガポールのS」と言えば、伝達ミスを防げるというわけだ。
さて、そんなこんなで無事にチェンマイ行きの航空券と現地でのホテルを確保した日本人の母娘一行。来月後半には、チェンマイ道中をお届けできる予定なので、どうぞお楽しみに!
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