オランダ語のヒミツ
●オランダ人と風車
オランダの国名は正しくは Nederland(ネーデルラント)という。オランダと呼ばれるのは、この国が16世紀末にスペインから独立したとき中心になった当時の
Holland(ホラント)州の名が語源。
ネーデルラントとは「低地の国」を意味する。事実、オランダは面積の4分の1近くが海面下の標高で、干拓により国土を広げてきた。オランダでは「世界は神が造りたもうたが、オランダはオランダ人が造った」とよく言うが、この干拓事業に大きな役割を果たしたのが風車である。
最盛期には全国で1万の風車があったと記録され、干拓の水のくみ出しだけでなく、穀物をひいたりするなど、オランダ人の生活に欠かせないものだった。
風車は正面から見て反時計回りに回転するが、その羽根の止め方には意味があり、垂直に十文字形に止まっているときは「大休止中」であることを示し、斜めにX形に止まっているときは「小休止中」であることを示す。また、羽根の1つが頂点の少し手前で止まっているのは、結婚や出産などお祝い事のしるしである。第2次大戦中のドイツ占領下では、風車の羽根の位置によるサインが、レジスタンスによって通信に使われたという。
現在では風車はおよそ950基が残っているだけだが、この国では大切な文化遺産として保存されている。
●「ビール」や「コップ」もオランダ語
オランダ語から日本語に取り入れられた言葉には、ビール(bier)、コップ(kop)、ゴム(gom)など、日常生活にすっかり浸透しているものが多い。ガラス(glas)やインキ(inkt)のように、発音が日本語化したものも多い。「ランドセル」も、もとはオランダ語の
ransel[ランセル](リュック)だったが、発音しやすいように「ド」の音が加わった。
「博多どんたく」の祭りも、オランダ語の zondag[ゾンダッハ](日曜日)が変化したもの。「半ドン」もこれを語源とする。面白いのは「ポン酢」。もともとは
pons[ポンス]という飲み物で、お茶・酒・砂糖・レモンなどを混ぜて作り、江戸時代の長崎・出島のオランダ人の好物だった。それを当時の蘭学者がまねて飲み始めたが、いつのまにか酢入りの調味料となり、語末の「ス」が「酢」と誤解されてしまった。
ほかにも、東京駅近くの「八重洲(やえす)」の地名も、オランダ人ヤン・ヨーステンの名に由来する。彼は通訳として徳川家康に雇われ、ここに屋敷を構えた。なお、赤レンガで知られる東京駅の駅舎は、アムステルダム中央駅をモデルに建築されたものである。
●オランダ語と近縁の言語
オランダ語はゲルマン語派に属し、英語やドイツ語とは共通する点が多い。文法はドイツ語に似ているが、ドイツ語ほど複雑ではない。単語はむしろ、英語に似ているものが多い。
このほかにも、オランダ語に近い言語としてフリジア語があり、オランダ国内のフリースラント州やドイツの一部で話されている。また、南アフリカに移民したオランダ人の言葉に由来するアフリカーンス語も、近縁言語である。「おはよう」を各言語で記すと以下のようになる。
|
オランダ語
フリジア語
アフリカーンス語
ドイツ語
英語
|
Goedemorgen.
Goemoarn.
Goeiem re.
Guten Morgen.
Good morning.
|
|