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藤田先生に聞く!
小学校外国語活動がめざしているもの

小学校での外国語活動の目標は「コミュニケーション能力の素地を養う」こと。現行の小学校学習指導要領における外国語活動の目標やその内容、また「必修」と「教科」の違い、教科化までの流れについて藤田保先生がQ&A形式でお答えします。
取材・文/杉谷知子


Q1 小学校の学習指導要領の外国語活動の目標には「コミュニケーション能力の素地を養う」とありますが、これはどういうことでしょうか。
  
Q2 外国語活動を通して、子どもたちはどんな力をつけることができるのでしようか。
  
Q3 なぜ必修なのですか。教科との違いはなんですか。
  
Q4 今も「小学校では英語よりも国語を身につけさせるほうが先ではないか」という声もあります。外国語活動が始まると、国語の学習に支障が出るのでしょうか。
  
Q5 小学校では文字指導はおこなわないのですか。
  
Q6 外国語活動のカリキュラムはどのように立てられるのでしょうか。また、どのような指導体制がのぞましいのでしょうか。
  
Q7 中学校や高校の英語の授業には変化はないのでしようか?
  
Q8 外国語活動が必修化されてから、実際はどのような成果がありますか?
  
Q8 今後、外国語活動は、教科になるのでしょうか?
  
Q8 教科化にあたっては、どのような条件整備がおこなわれ、また指導者はどうのように配置されるのでしょうか?




Q1小学校の学習指導要領の外国語活動の目標には「コミュニケーション能力の素地を養う」とありますが、これはどういうことでしょうか。
 

A現行の学習指導要領の柱のひとつは「言語力」です。今の子どもたちは、ことばによるコミュニケーションがうまく取れません。それは小学生に限らず、中学生や高校生、大学生でも同様のようです。現代では、コミュニケーションの主な形態はメールで、それも知っている人どうしでとても短い単語レベルでかわす人がふえています。ですから、相手にきちんと説明をすることが苦手な子どもが多いようです。たとえば買い物に行って店員さんに、「○○だから△△をしてください」など自分の意思をうまく伝えることができません。そうした力をつけることが、今、とても重要になってきています。

現行の学習指導要領では、国語や外国語活動など言語系の科目だけでなく、理科や社会などすべての教科で「言語力」「コミュニケーション力」を養うことに重点を置いています。たとえば算数では計算だけでなく文章で説明することができる力を、社会でも人名や地名をおぼえるだけでなく、なぜだろうと調べたことや考えたことを表現できる力を育てることを目標にしています。そして「外国語活動」でも、英語をはじめとした外国語を通して、一生懸命聞いてみよう、言ってみようという姿勢を養っていくのです。
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Q2外国語活動を通して、子どもたちはどんな力をつけることができるのでしょうか。
 

A外国語活動の目標は、子どもたちのコミュニケーションカを伸ばしていくことです。ですから、小学校では英単語をおぼえさせたり、文法を学んだりするのではなく、たとえば人の話をしっかり聞こうとしたり、自分の考えを相手に伝えようとしたりする態度を、さまざまな活動を体験することで育てていくことが中心になります。

外国語活動の目標にある「コミュニケーション能力の素地を養う」の「素地」とは、コミュニケーションを取ろうとする態度です。「相手と意思の疎通をしたい」「外国語を使って話をするのが楽しい」という気持ちを持っていないと、中学校に入って、単語や文法ということばのツールが与えられても、それを使おうとする気持ちになれず役立てることができません。だからこそ、小学校の外国語活動がめざすのは、コミュニケーション能力の「素地」を養うことなのだと思います。
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Q3なぜ必修なのですか。教科との違いはなんですか。
 

A文科省が実施した平成19年度の調査*によると、全国の公立小学校のうちなんらかの形で英語活動を実施した学校は97.1%に及びます。ただ、その実施の頻度や内容は学校や自治体ごとに大きく異なっていました。週に2回・年間70時間というところもあれば年に1回のみというところもあります。このばらつきを解消するために23年度から一定の基準のもと、全国の公立小学校の5、6年生で外国語活動が必修となりました。

 「外国語活動」は、教科ではなく「領域」として位置づけられます。国語や算数のような教科との大きな違いは、検定教科書がないことと、「A、B、C、......」や「もう少し、到達している、すぐれている」といった評価をおこなわないことです。

外国語活動の評価は、学んだ単語をおぼえている、発音がいいといったスキルではなく、たとえば「一生懸命活動に取り組んでいた」「楽しそうに活動していた」のように、外国語活動にのぞむ態度について文章で評価されます。

*平成19年度小学校英語活動実施状況調査
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Q4「小学校では英語よりも国語を身につけさせるほうが先ではないか」という声もあります。外国語活動が、国語の学習に支障が出るのでしょうか。
 

A外国語活動は、子どもたちのコミュニケーション能力を伸ばしていくことが目標です。ですから、国語の学習にマイナスが及ぶとは思いません。むしろ外国語にふれることによって、子どもたちがふだん使っていることばとの違いを意識し、ことばに対する感覚がみがかれることもあるでしょう。ですから、外国語活動を通して、日本語を含めたことばに関する力が伸びることはあっても、そこなわれることは考えられません。

つまり日本語も外国語も、そして算数や社会などすべての教科がお互いに関連しながら、いろいろな角度から子どもの言語力を、総合的に伸ばしていくことをめざしているのです。

また、小学校で外国語に接するのは、週に1回、45分間だけです。日本で暮らしていて、親も友だちも日本語を話し、テレビから聞こえてくるのも日本語という環境で、週1回のわずか45分で外国語が日本語に影響を及ぼすことはないでしょう。国語力に問題があるとすれば、見直すべきなのは、国語教育のあり方なのではないでしょうか。
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Q5
小学校では文字指導はおこなわないのですか。
 

A小学校で文字をまったく扱わないわけではありません。3、4年生の国語でローマ字を習うので、5、6年生はアルファベットの26文字はすでに知っていることになります。また文科省が作成した外国語活動の教材にも、街にあるアルファベットの文字を看板などからさがしてみようという活動があります。

ただし外国語活動では、外国語のスキルを伸ばす学習はしません。ですから、単語のスペルをおぼえさせることはしません。たとえば街でsupermarketという文字を見つけて、それを書き写してくる活動はおこなっても、そのスペルを書けるかどうかをテス卜するようなことはしません。

ですが、アルファベットで書かれた単語が子どもたちの目に自然に入り、それを子どもたちがいつの間にかおぼえてしまうことは、ごく自然なことでしょう。
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Q6外国語活動のカリキュラムはどのように立てられるのでしょうか。また、どのような指導体制がのぞましいのでしょうか。
 

A現状では、カリキュラムの作成の担当は学校や自治体によって異なります。 文科省からは『Hi, friends!』が全国の公立小学校の5、6年生に配られていますが、これは教科書ではありません。ですから、Lesson1、Lesson2のように順に進められるわけではなく、『Hi, friends!』をどのように、どれだけ使うのかは各学校や自治体に任されています。

指導体制については、担任の先生が主体になります。ただ、すべての担任の先生が外国語を使いながら授業をするのはむずかしいでしょう。そこで活躍が期待されるのが、ALT(外国語指導助手)や外国語が堪能な地域の人材です。こうした人材をどれだけ活用していけるかが、今後の成功のポイントになってくるでしょう。
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Q7
中学校や高校の英語の授業には変化はないのでしようか?
 

A学習指導要領については、小学校だけでなく、中学校や高校の内容も知る必要があります。たとえば中学の学習指導要領(平成24年度から完全実施)では、授業時数の増加もふまえ、指導する語い数が以前の900語から1,200語程度へとふえます。すでに小学校の外国語活動で多くの単語に耳でふれているからこそ、中学校で語い数をふやせるのです。高校でもコミュニケーション重視の授業となり、現学習指導要領には「授業は英語で行うことを基本とする」ともり込まれています。高校の現学習指導要領は、小学校での外国語活動が平成23年度からの必修化に向け移行期間に入った21年度の小学校6年生が高校1年生になった平成25年度から施行されました。小・中学校でつちかったコミュニケーションカをベースにするからこそ、高校ではさらに高度な英語の授業が実施できることとなります。
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Q8
外国語活動が必修化されてから、実際はどのような成果がありますか?
 

A外国語活動は『学習指導要領』の目標が目指している方向に進んでいるようです。文部科学省国際教育課外国語教育推進室の調査(平成22年10月)*によれば、授業を受けた児童たちの多くは、英語が好き(75%)で、英語が大切だと思っており(90%)、外国の人が話しかけてきても受け答えをする(68%)と積極的な態度を持っていることを示しています。
一方、外国語活動を教えている教員に対する調査でも96%の先生方が「積極的に英語を聞いたり話したりしようとする児童が増えた」「日本や外国の様子などに対する興味・関心が高まり、授業以外の時間を使ってさらに調べようとする児童が増えた」など教えている児童に肯定的な変化があったと回答しています。さらに、児童ばかりでなく教員にも変化があった(94%)ようで「授業に対する苦手意識や抵抗感が少なくなった」「他教科と同じようにとらえるようになり、特別視しなくなった」「自ら英語を使おうとしている」「児童がコミュニケーションを図る必然性を活動にもたせることを大切にするようになった」など、導入前に懸念されていた教え方に対する不安も少しずつ解消されつつあるようです。

*国際教育課外国語教育推進室『「英語教育改善のための調査研究事業に関するアンケート調査」結果について
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Q9
今後、外国語活動は、教科になるのでしょうか? 
 

A2013年12月13日に文部科学省が「英語教育改革実施計画*」を発表し、中学年(3・4年生)では活動型の授業を週1~2コマ、高学年(5・6年生)では教科型の授業を週3コマ程度実施する方向性を打ち出しました。2014年のはじめに有識者会議を設置し、中央教育審議会(中教審)**での検討を経て2016年には学習指導要領の改訂を行い、2017年に教科書の作成に着手、そして2020年度の全面実施に先立ち、2018年度から新たな学習指導要領の先行実施が始まる、というのが大きな流れです。これらの動きは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを意識して従来よりも早い進み方をしているようです。
中学年対象の外国語活動が目指す方向性は基本的に現行のものと変わりはなく、英語に慣れ親しみ、意欲をはぐくむという姿勢が貫かれます。その一方で、高学年対象の英語では初歩的な運用能力を養うことを目的としています。そこでは文字も扱われることになるでしょうが、個人的には書くこと(スペリングなど)を重視するのではなく、ある程度規則的なつづりの単語が読めるようになること、そして、耳で聞いてわかる内容の物語などを音読できることを目指せば、中学校での英語との接続がスムーズになるのではないかと考えています。

*グローバル化に対応した英語教育改革実施計画』(平成25年12月13日)
**文部科学省に置かれている審議会
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Q10
教科化にあたっては、どのような条件整備がおこなわれ、また指導者はどうのように配置されるのでしょうか?
 

A教科になるということは検定教科書*を用意し、数値による評定が行われ、教員免許取得者が授業を担当する必要があります。教材開発も大切ですが、この中で一番大きな問題となるのが教員の問題です。これまでの担任を中心とした指導だけではなく、高度な英語指導力を備えた専科教員の積極的活用が検討されています。そのためには、現役教員の研修に加え、各地の大学などでも即急に、今回創設される小学校英語(教科)の特別免許状に対応した教員養成課程の準備を始めなければなりません。
とはいえ、新学習指導要領全面実施の2020年度までに全国の22,000校以上の公立小学校すべてに小学校英語免許を取得した教員を配置するのは現実的には難しいでしょう。当面の間は、担任教諭とのティーム・ティーチングを行うことになりますから、ALTら外部人材のさらなる活用が必要となります。そして、外部人材の指導力向上の研修が行われ、また、人材活用のためのガイドラインが策定される予定です。

*文部科学大臣が審査し、教科書として合格したもの
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なぜ必修になるの? まずは『新小学校学習指導要領』を確認
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