取材・文 杉谷知子
第7回 遠山道子先生
profile

文教大学講師。上智大学大学院博士後期課程修了。言語学博士。研究分野は音声・音韻・言語習得。共著に『本当に必要な社内英語 基礎編』、『もっとやさしい 起きてから寝るまで英語表現600』、『英会話スピードマスタードリル』(いずれもアルク刊)。
※記事の内容は取材当時(2012年)のものです。

自分のリミットを決めないで、諦めないで学習する

英語の音声に興味を持ったきっかけ

遠山道子先生はヒアリングマラソン(HM)の「ニュースの斬り方」の音声解説を担当するコーチ。実験音声学や言語習得を専門とする先生が「音声」の面白さに目覚めたのは、上智大学大学院の後期博士課程で学んでいる頃だったが、その背景には、母親をはじめとして母方に音楽家が多いことや、父親の仕事のために幼い頃から海外で育ったという、遠山先生のバックグラウンドがひょっとすると大きく影響しているのかもしれない。


「私が音に興味があるのは、マレーシアにしてもアメリカにしてもさまざまな複数の言語に囲まれて生活していたせいもあるかもしれませんね。マレーシアではマレー語や英語、中国語などが街にあふれていたし、家にもマレー語を話すお手伝いさんやインド人の庭師さんなどがいましたから」。


そんな遠山先生も、父親の転勤でアメリカに引っ越した際には英語で苦労したという。「マレーシアで使っていた英語はブロークンイングリッシュでした。それにアメリカンイングリッシュはアジアの英語と比べると、速さもフレーズもイディオムもまったく違うんですね。だから、アメリカの高校に入ったものの授業がまったく聞き取れない。もうひたすら聞く、聞く、聞く、の毎日でした。1年ぐらいたってようやく分かるようになったと思います」。

聞き取れないなまりとの出合いとその克服
遠山道子先生

アメリカ英語に慣れた遠山先生が次に出会った「聞き取れない英語」は、イギリスの料理家・ジェイミー・オリバーが話す、「ロンドンとその近郊に住む労働者階級に特有の方言」だった。


「彼の料理番組を見たとき、本当に聞き取れなくて衝撃的でした。音声学の知識を総動員しながら、彼の口の動かし方を観察したり、自分でも真似をしたりしているうちに分かるようになりました。いろいろな英語に触れることで本当に視野が広がります。以前、職場でニュージーランド人とオーストラリア人たちに囲まれて、毎日彼らの話す英語を聞いていましたし、今ではこちらがドンと構えていれば、どんな国や地方の人が来ても大丈夫だと思いますよ」。


模倣 (mimicry) 能力 または 発音模倣能力は、外国語学習にとても大きく影響すると遠山先生は続ける。


「いろいろな地域や背景で話されている英語をまねてみるのが好きなんです。R音を落としてみたり、母音を変えてみたり、イントネーションを微調整してみたり、『これは楽しいぞ』と思いながら、耳にした独特の英語を自分で発音してみる」。


語学学習では進んで音をまねるべきだと思います。そしてただまねるだけではだめ。それを聞いて確認してみることも重要です。先生や友人に聞いてもらう。あるいは1人だったら、録音して確認する。まねる対象の音声は、できればイントネーションが顕著で、スピードが適度なものをおすすめします。できれば半年以上続けてみてほしい。きっとリスニング力もスピーキング力も身に付いているはずですよ」。

つながった音の聞き取りはパターンを覚える

遠山先生ご担当の「ニュースの斬り方」の音声解説では、音のつながりや変化について学ぶことができる。

遠山先生はHMにおいて教材中の音声変化についてコメントしている。音声変化とは、自然な話し言葉で、音が落ちたり、交ざったり、つながったりして変化すること。何回聞いても聞き取れない部分をスクリプトで確認すると、「ああ、単語2つが前置詞でつながっていたんだ」とやっと分かることもよくあるはずだ。


「見れば分かるけれど、聞くだけでは分からない。これは本当にもう慣れるしかありません。例えばcup of teaにしても、of の音は[v]だけだったり、[ə]だったりするけれども、パターンはだいたい決まっている。そのパターンを覚えてしまえばいいんです。目を使う学習も大事だけれど、耳を使ってどんどん聞きましょう」。


HMや『ENGLISH JOURNAL』に掲載された映画やドラマ、歌、インタビューなどは、こうしたconnected speechの特徴をマスターするのに、「本当にいい素材」と遠山先生。


「例えば、あるセンテンスを聞いてディクテーションしてみる。そしてスクリプトを見て、分からなかった部分を確認して、再度聞き、またディクテーション。最後にもう一度聞きながらシャドーイングしてみましょう」。


最後に遠山先生にHMを通して英語力をアップするコツを伺ってみた。
諦めないで続けること! そのためには自分で自分のリミットを決めないでほしいと思います。『自分は年を取っているから』『能力がやっぱりないから』などbelief(思いこみ)が固まっている人が結構いるんですね。そのbeliefを一度捨てて、新たな気持ちで英語学習に取り組んでみてください。HMは内容的にもよく考えられた教材なので、継続していれば自ずと結果が出てくると思います」。



  1982年の開講以来、のべ120万人以上にご受講いただいている通信講座「1000時間ヒアリングマラソン」。教材は、旬の素材を使って毎月新たに作られます。また、取り上げられるトピックも、ニュースや映画のほか、ドラマ、インタビューなどバラエティー豊か。だから、楽しく飽きずに無理なく英語学習を続けられます。

詳細・お申し込みはこちら>>


1000時間ヒアリングマラソン活用法 トップへ

  • アルコムワールドで日記を書く

メルマガ登録