世界で活躍する 国際派プロフェッショナル


ペルーでの生活をスタート。スペイン語をゼロから習得


客層は10代から40代まで広い。輸入品のため価格は高めだが、ここにしかない商品を求めて地方から訪れる人も多い。「ネットで見つけたアイテムを輸入してほしいとオーダーする熱心な方もいます」と横塚さん

そんな横塚さんが夫と一緒にペルーにやって来たのは2012年4月。当初はペルーに暮らす義父の看病が目的の一時的な滞在だった。しかし数カ月後に義父が他界し、周囲の状況は激変。横塚さん夫婦はペルーで暮らすことを決め、スペイン語での生活が始まった。

「最初は単語の意味どころか、何を言っているのかすら聞き取れなくて、“Si(はい)”と“No entiendo(わかりません)”だけで押し通したんですよ(笑)」。

わからない単語は夫が教えてくれたが、日本語が母語でない夫の説明では理解しきれないこともあった。そのためオンライン辞書を駆使し、YouTubeにアップされているスペイン語講座を繰り返し視聴した。

「スペイン語習得のコツですか? それはわからないことをそのまま流さず、『それは何? どういう意味?』と聞くことかな」。

物おじしない横塚さんの性格は、語学のみならず彼女自身の世界も広げていく。



講師からブランドの立ち上げ、そして再びショップオーナーに

13年7月、横塚さんはリマ商工会議所内で開催されたファッションセミナーで、「スタイル」をテーマに講義を行った。日本でスタイリストとしても活躍していた横塚さん。夫と一緒に訪ねたモード専門学校の校長がその経歴に興味を持ち、講師を依頼したのだ。

「あれよあれよという間に話が進んでちょっと怖かったけど、なんだか面白そうだと思ってお受けしたんです」。

この経験を機に他校でもファッションのトレンドやマーケティングについて教えるようになった横塚さんに、ある日ペルー南部のアヤクチョから依頼が舞い込む。アンデス山間部のアヤクチョは、刺しゅうや織物などの伝統工芸が盛んな街。今回の依頼はセミナーに加えて、地元職人が作った衣装のファッションショーの演出も含む大掛かりなものだった。

夫の協力を得ながら、万難を排して準備したセミナーとショーは大成功。地元の人たちとの交流も生まれた。そんな中、「地域の母親たちが作ったものを日本で販売できないか」という相談が寄せられた。

「正直、これは悩みました。アヤクチョの人たちには技術はあるのですが、製品のデザインや仕上げは一般に売れる商品としては通用しないものでした。ちょうどそのころ、リマの専門学校の生徒たちの卒業後の仕事があまりないことにも気をもんでいました。彼らにはアイデアやデザインの力はあるのですがそれを具現化する資金やチャンスがありません。この双方をうまく結び付けられないかと考えたんです」。

14年12月、横塚さんはペルー発のエシカルファッションブランド※1を設立するため、「プロジェクト・チャク」を立ち上げる。学生から選抜した若きデザイナーと貧困地区に暮らす人々、彼らの懸け橋となる新しいブランドの創造に向け、クラウドファンディング※2で資金を募集。それを元に若手デザイナーを育成し、伝統刺しゅうを施したペルー産オーガニックコットンのコレクションを発表するなど、積極的に活動している。
※1 環境保護や社会貢献を考えて生産、流通されるファッション商品。
※2 群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語。ネットを通じて、不特定多数の人が資金の提供や協力などを行う。

また15年8月には、冒頭のポップ・フリークスをオープン。ペルーへ渡る際に横塚さんは足利のショップを閉店し、落ち着いたら店を開きたいと商品を全てリマに運んでいたが、それらがあっという間に売れるのを見て「ペルーにない商品なら絶対成功すると思った」と、当時の確信を明かす。

ポップ・フリークス開業の1カ月後には、妹と友人の協力を得て日本の店を再オープン。日本ではペルー製のアルパカニットをはじめとするインポートものを、ペルーではポップでキッチュなアジアンファッションを販売する。さまざまな活動を同時にこなす横塚さんは多忙を極めるが、「大好きなファッションの世界に関われるから、毎日がとても充実しています」と笑顔だ。

ファッションへの飽くなき興味とチャレンジ精神は、横塚さんを輝かせ、新しいステージへといざない続ける原動力となっている。



テキスタイルの国際展示会、ペルー・モーダをプロジェクト・チャクのメンバーと視察。横塚さんは第一線で活躍するペルー人デザイナーにインタビューも行った

取材・文 原田慶子

マガジンアルク』2016年9-10月号掲載



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