英語とは無縁の元お笑い芸人が
わずか2年で外資系企業を舞台に活躍

取材・文 岡田真紀

星 飛雄馬さん

525点 → 700点突破が目標
星 飛雄馬さん(外資系会社員)

外資系テクノロジー会社で営業企画を担当。元お笑い芸人。2年前に現在の会社に入社後、英語が必要になり学習開始。今では日常的に仕事で英語を使う。2013年11月にTOEICテストを初受験。直前の社内模試では600点を超えたが本番では525点。今年中に700点突破が目標。ちなみに名前は本名。



外資系企業への就職を機に英語を毎日使う環境へ一変

外資系テクノロジー会社の日本支社に勤める星飛雄馬さんは、昨年11月に初めてTOEICテストを受けた。目的は、自分の英語力を測定するため。今でこそ、スウェーデンの本社とほぼ毎日、英語でメールのやりとりをし、週3回はSkypeでディスカッションを行っているが、2年前までは、英語とは無縁の生活を送っていた。

実は、星さんは元お笑い芸人である。某有名アニメの主人公と同姓同名で注目されることが多く、また自身でも名前をネタにして周囲を笑わせてきた。大学卒業後にお笑いの世界に入り「モンキーチャック」というコンビを結成。約10年間、精力的に活動したが、なかなか売れない。お笑い芸人としてやっていくことに限界を感じ、2010年にコンビを解散。フリーランスの映像編集者として新たな一歩を踏み出した。

ところが、その道も予想以上に厳しかった。将来に不安を感じていたころ、同窓会で現在の勤務先で働いていた友人に再会。その友人に誘われて入社試験を受けたところ合格し、営業マンとしての人生が始まった。そして、これが英語をやり直すきっかけにもなる。

 

学生時代は英語が苦手だったが仕事上、英語が不可欠に

星さんが使用した教材
面白そう、とっつきやすそうと感じた市販の単語集や表現集、参考書をたくさん読み、気になった表現を実際の会話やメールでどんどん使っている

学生時代の星さんは英語が苦手だった。「中学・高校時代、授業がさっぱりわからず、嫌になってしまったんです。大学受験でもほとんど勉強していません。大学では、皆が同じスタートラインに立てるフランス語を選択。結構出来が良かったんですよ」と語る。ということは、外国語を学ぶ素地は元来ありそうだが、とにかく高校卒業後は英語に触れる機会も必要性もない日々だった。

ところが、今の会社に入ってみると商品のパンフレットや資料は全て英語。日本国内の顧客に説明するには、まず自分でその内容を理解しなくてはならない。さらに、商品開発を行う本社に最新情報や顧客からの質問を問い合わせることも多く、やりとりには英語が必須だ。

「最初は英語のできる同僚に頼っていたんですが、だんだんそうもいかなくなってきて……」と話す星さん。そこで、市販の参考書で中学英語レベルから復習を開始。本社とのやりとりにも積極的に参加するようにした。「ただ、本社へ送るメールの文面は間違いだらけ。見知らぬ日本人からおかしな英語で問い合わせが行くせいか、本社からはなかなか親身になった返事をもらえませんでした」。

                                

当時を思い出して苦笑する星さんだが、そのころはまだ深刻に捉えていなかった。それが、入社1年目の冬に、初めて海外出張したことで意識が変わる。

初めての海外出張では英語がほとんど聞き取れなかった

星さんが使用した教材
『一億人の英文法』
(大西泰斗、ポール・マクベイ著/ナガセ)
最近、文法の重要性に気付いたため、目下熟読中

星さんの会社では年に1回、世界中の社員が本社に集い会議を行う。初めての海外出張で英語力に不安はあったが、ジェスチャーを添えたりわからない言葉はその場で意味を調べたりすれば何とかなるだろう、と高をくくっていた。ところが行きの飛行機で早々と、自分の考えの甘さを思い知る出来事に遭遇する。

「成田を出発した直後のドリンクサービスで、隣席の(日本支社の)社長がコーラを注文し、私は“Me, too.”と頼んだんです。ところが、出てきたのはトマトジュース。日本人の接客に慣れているはずの客室乗務員に、自分の英語が通じなかったことがすごくショックでした」。

本社に着いていざ会議が始まると、さらなる試練が待ち受けていた。「皆が何を話しているのか、どんな議題で進行中なのか、全然聞き取れなかった」のだ。会議後のパーティーでも、グループに分かれて行うゲームの説明が理解できず、他の人のまねをしてしのいだという。

しかし、星さんはくじけなかった。「『言われていることがわからない』と相手に伝えることが肝心だと気付き、I'm not sure ~.(~はわかりません)やHow should I do?(どうすればいいんですか?)という表現を覚えました」。逆境を学びの場として最大限に活用したのだ。

また、この出張には「人脈づくり」という密かな目標があった。1人でも多くの同僚と仲良くなれば、今後、メールやSkypeでのやりとりがスムーズになるだろうと考えたのだ。そこで、パーティーではスマホで50人とツーショット写真を撮る計画を実行。最初は表現集に載っていた通り、May I take a picture with you?(一緒に写真を撮ってもいいですか?)と頼んでいたが、慣れてきたらCan I ~? などと言い方を変えてみた。最終的には「今、写真を集めてるんだ」と前置きすれば、スマホを指してMay I? と言うだけで通じるとわかった。写真を撮った50人には、その日のうちにFacebookからメッセージを送り、多くの友達づくりにも成功した。



覚えるだけじゃ駄目。使わないと定着しない

帰国後、星さんは英語学習に真剣に取り組み始める。市販の表現集や参考書を大量に読み、出張中のさまざまな場面を思い出しながら使えそうな表現をチェックし、実際に使うようにした。同僚が使う単語や表現も、気になるものはすぐに取り入れて使う。「単に覚えるだけではなくて、使わないと自分の中に定着しないんです。まねして使っているうちに、いつの間にか自然に使えるようになっていることが多いですね」。

芸人時代の経験から、“恥をかくことを恐れない”ようになっていた星さん。見て聞いたものを臆することなくすぐに実践する方法で英語力は着実に付き、同僚から「英語がめちゃくちゃうまくなったね」と言われるようになった。そして、どのくらい英語力が付いたかを測るためにTOEICテストを受験。結果は525点。「もうちょっと高いと期待したんですが……」と肩を落とす。

とはいえ、星さんにとってTOEICスコアはあくまでも指標で、専用の対策はしていない。あえて言えばPart5が弱いと感じ、また仕事上、意思疎通を確実に行うには正しい語順が重要と認識したため、最近は文法の学習に力を入れている

                          

「今年中にTOEICテストでは700点を取りたいです。英語の精度をもっと上げて、社内で頼られる存在になりたいですね」。そう力強く抱負を語ってくれた。

       
マガジンアルク』2014年5-6月号掲載
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