高得点を目指して学習法を模索
門外漢が、気付けばTOEIC指導者に

取材・文 鈴木香織

濵﨑潤之輔さん

790点 → 990点達成
濵﨑潤之輔さん(TOEIC指導者)

早稲田大学政治経済学部卒業後、証券会社に勤務。その後、学習塾を経営し、小中学生の国語の指導に当たる中、偶然出合ったTOEICにのめり込む。2010年より出版社に勤務し、TOEIC対策本の編集を担当。12年以降、フリーランスとして書籍の編集に携わる一方、大学や企業でTOEIC講師を務める。



人生初の英語資格試験でスコアアップの面白みにはまる

大学や企業でTOEIC講師を務め、数多くの関連著書を持つ濵﨑潤之輔さん。現在の“TOEIC漬け”の生活からは考えにくいが、TOEICとの出合いは8年前と、実はそれほど昔のことではない。それ以前はTOEICの存在すら知らず、そもそも英語の資格試験自体、受験したことがなかったという。転機となったのは2006年に、海外留学を予定していた知人に掛けられたひと言だった。当時、小中学生を対象とする学習塾を経営し、自らも国語を教えていた濵﨑さんは、「学習塾で教えてるんだから英語もできるよね?」と聞かれ、答えに窮する。そこでこの際、何でもいいから英語の試験を受けてみようと思い立ち、周囲に薦められたTOEICを選んだことが、その後の濵﨑さんの人生を大きく変える。

受験すると宣言した以上、恥ずかしいスコアは取りたくない――そんな思いで3カ月間、さまざまな対策本で猛勉強をして本番に備える。その結果、790点という満足のいくスコアを取ることができた。しかし、ここからが濵﨑さんのTOEIC道の始まりだった。
「900点取れたら“すごいレベル”らしいと聞いて、じゃあもう少し頑張れば到達できるんじゃないか、と思ったんです。勉強を続けて数回受験したんですが、860点近辺のまま伸びなかったんですね」。

これが自分の限界値なのかと思い始めていたころ、あるセミナーをきっかけに、TOEIC対策トレーナーで指導者養成にも携わるヒロ前田氏と話す機会に恵まれる。当時の濵﨑さんの学習法は、Amazonの売り上げランキングでTOEIC関連書の上位にある書籍を月に30冊ほど買い込み、片っ端から解いていくというものだった。こんなに勉強しているのにスコアが伸びない、と同氏に相談したところ、「それは勉強法が間違っているんですよ」と即答され、1冊を徹底的にやり尽くす方法を勧められる。そこで『新TOEIC(R)テスト「直前」模試3回分』を半年間、何度も繰り返し解いてテストに臨んだところ、一気に970点までスコアアップした。

より多くの問題よりも、厳選した問題をより深く解く

濵﨑さんがよく使用した教材
新TOEICテスト「直前」模試3回分
(アルク)
上巻、下巻、問題演習の3冊。満点目指して、パート5対策用に文法を総復習した

「多くの本を解く」学習法と、「1冊を徹底的に解く」学習法とでは、なぜ効果に違いがあるのだろうか。濵﨑さんはこう説明する。「問題を解いて間違えたところを復習したら次の本に移り、また解いて、ということを続けていると、結局、復習が甘くなって、ずっと同じような間違いを犯し続けるんです。どの本も7、8割の完成度で終わってしまう。それなら、信頼できる1冊を、問題や選択肢の英文も含めて、わからない文法事項や単語が何もないレベルまで徹底的にやり尽くしたほうが、より記憶に定着し、どの本でも100パーセントに近い完成度で解けるようになる、というわけです」。

しかし、ここで疑問が湧く。同じ問題を何度も解いていたら、答えを覚えてしまい学習効果が下がるのではないだろうか。「よく聞かれる質問です。2回目以降は全問正解できて当たり前なんです。目的は正解することではなく、例えば『the とofの間に空欄があったら、ここには名詞が入らなければならない』のように、問題の主眼(testing point)を説明できるレベルにもっていくことなのです。この訓練が、本番で初めて見る問題についても、testing point を見抜いて対応できる力を養ってくれます。あとはこの訓練に加えて単語、フレーズ力を補えばいいのです」と濵﨑さんは言う。

同じ問題を繰り返し解くこの学習法では、TOEIC受験で必要とされる「大量の問題を速く解く瞬発力」も養われるという。また、自分にとって簡単な問題、そしてすでに文意や答えを把握している問題も含めて、全問をリズムに乗って一気に解くトレーニングは、特に900点台でさらなるスコアアップを目指す人に有効とのこと。

ちなみに、あまたある学習書から“徹底的に解く”ための1冊を選ぶ基準は「著者がTOEICを小まめに受験して内容を徹底分析しているか否かですね」と濵﨑さん。そのような書籍では、本物のテストにより近い問題を掲載しているため、無駄なく学習できるのだ。

指導者として圧倒的に高いレベルを維持すべき

濵﨑さんがよく使用した教材
TOEIC TEST 英文法出るとこだけ!
(アルク)
1冊を徹底的に解く、というヒロ前田氏直伝の学習法を取り入れ、半年間、繰り返し解いた

精力的にTOEICを受験する日々の中で、濵﨑さんは次第にTOEIC関連の仕事に携わるようになっていく。学習塾の仕事の合間にブログで公表していた受験勉強記録が、ある編集者の目に留まり、10年から濵﨑さんもその編集者と共にTOEIC対策本を制作するようになる。そこからさらに人脈が広がり、本の執筆依頼を受けたり、受験対策講座の講師を頼まれたりするようになっていった。

TOEICのスコアは970点を達成した後しばらく、1、2問のミスで満点に届かない時期が続いた。「900点台後半になると、つまずくのはたいていどの人もパート5なんです。知識がなければ正解しようがないパートですから」。そこで濵﨑さんは大学受験用の文法書を繰り返し解き、文法力を鍛え直した。かくして初受験から4年目に、めでたく満点を獲得する。

満点を達成し、指導者になった現在でも、1日に模試を1、2回分は解くという濵﨑さん。「移動時間に電車の中などで解く、“立ち模試”というスタイルですけどね。リスニング問題は1.5~2倍速で聞けば30分弱で解けますし、リーディング問題は僕の場合、いつも35分程度で解くので、出先への往復で少なくとも模試1回分は解けますよ」。なぜ今でも問題を解き続けるのか? まず、日々筋トレのようにテストを解かなければ反応が鈍り、本番で瞬時に問題を解けなくなるから。そして、指導者としての使命感があるからだ。「指導者である以上、生徒より圧倒的に高い実力を維持すべきだと思っています。これからも゛日本で一番TOEICの勉強をしている人”であり続けたいと思っています」。穏やかな語り口にTOEICへの熱い思いをにじませながら、濵﨑さんは次の仕事場、神戸で行われるTOEIC合宿へと向かっていった。


マガジンアルク』2014年11-12月号掲載
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