受験参考書で基礎を鍛え直し
外国人の"おもてなし"で実践力を磨く

取材・文 鈴木香織

470点 → 690点突破
木村亮介さん(会社員)

2003年、釧路公立大学経済学部経営学科卒業後、著作権マネジメント会社に勤務。仕事の傍ら、海外へのバックパック旅行や、外国人旅行者の自宅での受け入れなどで、英語のコミュニケーション力を磨く。十数年ぶりに受けたTOEICスコアに満足できず8カ月、集中的に勉強したところ、220点のスコアアップを達成。



旅行とカウチサーフィンで生きた英語を身に付ける

学生時代から英語が好きで、社会人になってからも常に何らかの形で英語に親しんできたという木村亮介さん。趣味は海外へのバックパック旅行だが、ここ数年、木村さんの英語力を磨く基盤になっているのが「カウチサーフィン」だ。

これは、2004年に始まったSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)で、無料で宿を提供するホストと、旅先で宿探しをするゲストをウェブ上で引き合わせるというもの。普段、会社勤めをしている木村さんは、年に1、2度の海外旅行で自分が泊めてもらう他、毎週末のように旅行者を自宅で受け入れているそうだ。宿泊だけでなく、観光名所を案内したり、居酒屋で一緒に食事をしたりして、これまでに100人以上の外国人を受け入れてきたというから、相当アクティブなユーザーといえるだろう。「僕が以前、泊めてもらったレバノン人が今度うちに泊まりに来るんです。ウマの合う人とは、泊まった後も友人関係が続くんですよ」。

ある時、外国人ゲストと会話を楽しむ木村さんを見た知人が、「英語が上手なんだね!」と褒めてくれた。うれしいと同時に、「一体、自分の英語力ってどのくらいなんだろう?」という疑問が湧いた木村さんは、学生時代に一度受けたきりのTOEICテストの再受験を思い立つ。真の実力を測ろうと、あえて準備をせずに試験に臨んだのが14年11月。ところが、英語でのコミュニケーションにはそれほど困らなくなっていたにもかかわらず、スコアは予想を大きく下回る470点だった。

                                 

「学生時代のスコアからずいぶん下がりましたし、自分の英語が間違いだらけ、という事実を突き付けられた気がしました」。

                                 

実は、木村さんには英語に関してもう一つ、胸にくすぶり続ける悔しい思いがあった。「海外を旅していて、現地の人の英語がわからずに聞き直すことがありますよね。そうすると相手が、『ああ、この人は英語があまりわからないんだ』という表情で、わかりやすい英語に“バージョン”を変えてくるのに、ムッとしていたんです」。

木村さんには、翌15年8月にアメリカでとあるイベント(後述)に参加する予定があった。そこでそれまでにTOEICでスコアアップし、英会話でムッとするような事態をなくすぞ、という目標を立てた。

TOEICのスコアアップを目標に基礎からやり直す

木村さんが使用した教材
NHKラジオ『実践ビジネス英語』(NHK出版)
番組を聞くのに加えて、テキストと別売CDも購入し、音読や暗唱など、さまざまな方法で約半年勉強した。しかし難易度が高過ぎ、長くは続けられなかった。

目標を決めてからまず始めたのは、NHKのラジオ講座を利用した学習だった。番組を聞いた後もテキストを持ち歩き、通勤時間に音読したり、暗唱を試みたりした。

「当時は平日にラジオ講座でみっちり勉強したことを、週末にカウチサーフィンで受け入れた外国人を相手に使ってみる、というサイクルでした。だから講座に登場した単語や表現が、自然に口に出てくることがありましたよ」。

このスタイルを半年弱続けたが、講座のレベルの高さに少々バテ気味に。そんな時、“TOEICには基礎のやり直しが有効”と説く雑誌の記事を目にし、大学受験用の文法問題集で学習を始める。

「remember to doとremember doingの違いなど、受験生時代に学んだ文法知識をかなり忘れていたんです。そういった細かい知識をこの本で再確認したことが、後のTOEIC受験でとても役立ちました」。

TOEICの過去問題集や対策本は、気になりつつも時間が足りずに手を付けなかった。

こうして迎えた15年7月のTOEICでは、一気に220点アップし、690点を獲得。このころには、英会話のスキルアップも実感したという。

「今まで正しい語順がわからず不安に感じながら話していた表現を、自信を持って正しく話せるようになりました。そして迷いがなくなった分、相手にもスムーズに理解してもらえるように。基礎のやり直しに時間を割いた効果だと思います」。

アメリカでの共同生活で腕試し

木村さんが使用した教材
『英文法レベル別問題集』(東進ブックス)
大学入試で問われるような文法知識を復習するのに活用。「正しい表現方法を忘れてうやむやのまま使っていたものも、これでリセットできました」。この本をさらった後は自信を持って会話に臨めるようになり、基礎の大切さを実感した。

TOEICスコアアップの先には、前述したもう一つの目標が控えていた。毎年8月にアメリカで開催される「バーニングマン」というイベントへの参加だ。これは電気や水道などライフラインのない荒野で約1週間、貨幣経済を排除し、物々交換で共同生活を送るというもの。参加者は約6万人。その大多数を占めるアメリカ人に囲まれた生活では、戸惑うことが多々あったという。

「日本で外国人をもてなすのとは違って、このイベントでは僕はマイノリティーの存在。気後れしましたし、『どこから来たの?』『日本から来たよ』といったやりとりが終わってしまうと、話が続かない、という状況もよくありました」。

木村さんが比較的自信を持っていたコミュニケーション力について、新たな気付きと今後の課題が見える旅にもなったようだ。

昨年より目標にしてきたアメリカ旅行を終えた今は、テレビの英語講座やネット動画での英語学習、そして週末の外国人ゲストのもてなしなどでのんびりと英語に触れている。今後は、このような楽しめる形で英語に触れつつ、時折、試験や旅行を目標に、集中的に勉強する期間を設ける、というメリハリのあるスタイルを取りたいそうだ。

「洋楽や映画を100パーセント自力でわかるようになりたい、という夢もありますし、何より、英語がわかると手に入る情報量がぐんと増えて、世界が広がる楽しみがあります。だから英語は常に勉強していたいし、いずれはTOEICの満点も目指してみたいです」。

この後、カウチサーフィンで知り合ったドイツ人を上野の居酒屋に連れていく予定だと語る木村さん。目標は高く、でも生活の一部として自然体で学び続けるのが、木村さん流の英語上達術のようだ。


マガジンアルク』2015年11-12月号掲載
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