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Lesson16 医療通訳を使いこなす10のヒント

執筆 押味貴之
Lesson16 医療通訳を使いこなす10のヒント

外国人の患者さんが病院を訪れた時、皆さんはどう対応されるでしょうか? 英語を話す患者さんであれば、このコラムで学んでいるさまざまな表現を用いて対応できる(?)とは思いますが、それが中国語やスペイン語など、あなたがまったく話すことができない言語であったらどうしますか? そこで今回は少し趣向を変えて、「医療通訳を使いこなすヒント」をご紹介します。たとえ通訳者が医療通訳のトレーニングを受けていない普通のバイリンガルの方であっても、ここで紹介するヒントを参考に適切な「医療通訳」を実現させてください。

意味のある「通訳者の位置取り」
ヒント1 通訳者の「位置取り」
まずは、通訳者の「位置取り」についてです。これは「患者さんの斜め後」が理想的です。医療者と患者さんが、あたかもお互いに同じ言葉を話すようにするのが医療通訳の目的です。そのためにも、通訳者は話者のコミュニケーションを阻害しない位置にいるべきなのです。医療者の後ろにいると患者さんの不安が強くなるため、「患者さんの斜め後」に座ってもらうようにします。

ヒント2 直接患者さんに話す
患者さんに質問するときは、通訳者にではなく「直接患者さんに話す」ことが大切です。患者さんにも自分に向かって話してもらうようにしましょう。それを実現するためにも通訳者には、話者と目を合わせることなく通訳に専念してもらうようにします。

ヒント3 話された通りに通訳する
また、通訳者には「話された通りに通訳する」ということを徹底してもらいましょう。医療者が話すことだけでなく、患者さんが話す言葉をすべてそのまま通訳してもらいます。患者さんが「お腹が痛いんです。」と言えば、通訳者も「お腹が痛いんです。」と一人称で通訳してもらいます。当然ですが通訳者の意見やアドバイス等は入れないように念を押しておきましょう。

ヒント4 質問は短く、一度に一つ
医療者は「質問は短く、一度に一つ」を心がけましょう。バイリンガルであっても通訳のトレーニングを受けていない場合、長い話を通訳することは大変です。患者さんへの質問はゆっくりとした口調で、できるだけ短く区切って行うようにしましょう。

ヒント5 わかりやすい言葉を使う
また、専門用語等をできるだけ使わずに「わかりやすい言葉を使う」ことも大切です。たとえば「胃酸過多が原因です。」と言うよりも、「胃液がたくさん出ていることが原因です。」と言った方が通訳者にはわかりやすく、通訳も容易になります。また通訳者がわからない言葉が出て来た時には辞書を引いて調べる時間を与える等、ちょっとした心がけを忘れないようにしてください。


最も大切な「事前の説明」
ここまでは、「影のように振る舞う」という通訳本来の役割に関する内容でした。しかし医療通訳では「患者の健康を守る」という至上目的があるため、以下のような項目も大切になります。

ヒント6 患者さんの理解を確認する
まずは、「患者さんの理解を確認する」ことです。自分が話した言葉がすべてそのまま伝わったとは思い込まないでください。むしろ、「通訳者の誤訳は医療者の責任」と理解してください。また、患者さんの「わかりました。」という言葉も全面的に信用してはいけません。必要な場合は、「私が今言ったことを繰り返してください。」と質問して、患者さんの理解を確認しましょう。そして通訳者が患者さんの理解が不十分だと判断した時にも医療者に教えてもらうようにしましょう。

ヒント7 文化の違いを意識する
外国人の患者さんと接するときには、常に「文化の違いを意識する」ようにしましょう。日本では、男性の医師が女性の患者を診察する際に、女性の看護師に同席してもらうことは「当然」と考えられています。ところが文化によってはこれが女性患者のストレスになる場合もあります。このように医療の現場でも異文化が原因のさまざまな問題が考えられますので、通訳者に「何か文化の違いが原因で患者さんにストレスがかかっていると気づいた時には教えてください。」と伝えておきましょう。

ヒント8 事前に説明する
これらの通訳の方法は、通訳者に「事前に説明する」必要があります。この時には必ず守秘義務を守るように伝えておいてください。また、患者さんにも同様に通訳の方法を説明してもらいましょう。患者さんが英語を話す方であれば、以下の文章を通訳者の方に読み上げてもらうといいでしょう。


患者さんへの説明
First of all, I will keep everything confidential, so please feel free to say anything you want to the doctor.
Please speak directly to the doctor; I will interpret everything you say exactly as you say it. If you say "I have a stomachache", I will say "I have a stomachache" in Japanese. I'll do the same for the doctor.

Also, please speak in relatively short segments so that I can interpret accurately. If I make a hand gesture like this, please pause so that I can interpret.


ヒント9 多言語問診票を活用する
このほか、「多言語問診票を活用する」ことも外国人患者さんの看護では重要です。「国際交流ハーティ港南台」のサイトでは、11科18言語の多言語問診票がそろっていますので、活用するといいでしょう。また、私も運営に携わっている「health hokkaido」というサイトでは患者さん本人が記入してプリントアウトできる問診票を用意していますので、こちらもどうかご利用ください。

ヒント10 医療通訳団体を活用する
そして、何か医療通訳で疑問があるときには「医療通訳団体を活用する」ことも忘れずに。英語医療通訳に関しては「日本医療通訳協会」までお気軽にご相談くださいね。



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