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Lesson20 産婦人科で使う英語表現

執筆 押味貴之
Lesson20 産婦人科で使う英語表現

「つわり」“morning sickness”や「おりもの」“vaginal discharge”など、産婦人科では専門用語とも異なる、独特な「一般用語」“lay terms”が数多く使われます。そして、その中には日本人医療者が考える英訳では意味が通じないものがたくさんあります。そこで今回は、「産婦人科での lay terms」に関して、日本人が英訳する時に間違えやすい「単語」と「表現」をご紹介します。

「中絶手術」「子宮口」は英語で何と言う?
では、まず産婦人科で英訳に気をつけたい英単語から見ていきましょう。

「助産師」の midwife は知っていても、「産婦人科医」となると「英語で何て言うのだろう?」という方が多いのではないでしょうか?「産科」は英語ではobstetrics、「婦人科」はgynecologyとなり、「産婦人科」はこれらを合わせて obstetrics & gynecology となります。ただそのような長い名称を一般の方が使うことは稀で、これを略した Ob-Gyn(オービー・ジーワイエヌ)が使われます。従って「産婦人科医」も Ob-Gyn doctor と呼ばれます。
「帝王切開」はC-sectionです。これは Caesarean section の略で、皇帝 Julius Caesar がこの方法で産まれたことに由来すると言われています。

「人工中絶手術」は artificial abortion と訳すよりも、その具体的な手技の「子宮内膜掻爬(そうは))術」を意味する D & C(Dilatation and Curettage)の方が一般的です。つまり D & C (ディー・アンド・シー)と言えば、それがそのまま一般的な「中絶手術」も意味するのです。 次に、「子宮筋腫」はどうでしょう? 「筋腫」は myoma ですから、これに「子宮」の uterineをつけて uterine myoma と考えますよね。もちろんこれは間違いではなく、辞書でも紹介されています。ただ、一般の方にはfibrosis(繊維症)という語を使った uterine fibrosis という名称の方が知られているので、患者さんに説明するときはこちらを使うと良いでしょう。

では、「子宮癌検診」の英訳はどうなりますか? これも uterine cancer test と言いたいところですが、一般には pap smear という名称で使われています。ですから「最近、子宮癌検診を受けましたか?」は“Have you had a pap smear recently?”となるわけです。

子宮の解剖についても、日本語と英語では「一般の方の認識」が異なります。たとえば、日本語では「子宮口が開く」と言いますが、同じ状況を英語では「頚部(cervix)」を用いて“Your cervix is opening up.”と表現します。また、日本語では「子宮体癌」と「子宮頸癌」のどちらにも「子宮」をつけますが、英語では前者を uterine cancer、後者は単に cervix cancer と呼ぶことが多いのです。

いかがですか? 「一般の方の言葉使い」に関しては、「辞書に載っている医学英単語がそのまま使えるわけではない」ということがご理解いただけたでしょうか?


高齢出産=late childbearing???英訳に気をつけたい日本語表現
次に、英訳する時に気をつけたい日本語表現を見ていきましょう。

産婦人科を問わず、日本語では「高齢出産」という言葉を耳にします。日本産婦人科学会では「35歳以上の初産」を「高齢初産」と定義していますが、日本語の「高齢出産」という言葉は、実に幅広い意味を持って日常的に使われています。

ここで気をつけていただきたいのは、このような「定義が曖昧で、話し手が具体的に何を言いたいのか表出されていない言葉」をそのまま英訳しないということです。日本語が「推測する言葉(その行間を読み取る言葉)」と言われているのに対し、英語は「表出する言葉(メッセージのすべてがそこに表出される言葉)」と言われています。つまり、英語では「具体的に何を言いたいのか」をはっきりと表出しないといけないのです。

ですから、英語で「高齢出産」と表現したいときは、“pregnancy over 35”や“pregnancy over 40”というように、具体的な表現に変換する必要があります。「高齢出産はリスクが高いですよ。」という表現も、日本語としてはそのまま使えるのかもしれませんが、英語で同じように表現すれば、ほとんどの方が「何のリスクが高いの?」と疑問に思います。従って、“You are at greater risk from developing high blood pressure and diabetes during pregnancy.”(妊娠中に高血圧や糖尿病になるリスクが高いですよ。)という具体的な表現にする必要があるのです。

近年、「妊娠中毒症」が「妊娠高血圧症候群」Pregnancy Induced Hypertension(PIH)という名称に変わりました。日本語では、まだ「妊娠中毒症」という表現のまま使われていることがあると思いますが、これを英訳するときには pregnancy toxemia などとせず、正式な名称を用いるようにしましょう。“toxemia”と聞けば、患者さんはきっと驚くと思いますので……。



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