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Lesson30 病名の英語表現

執筆 押味貴之
Lesson30 病名の英語表現

医療者である読者の皆さんにとって、「病気」というのは非常に身近な言葉であるはずです。しかし、身近であって簡単であるはずのこの「病気」という言葉、英語にするときには意外と間違える方が多いのです。また、病気を「診断」する場合にも、日本人医療者の英語には落とし穴がたくさんあるのです。そこで今回は、「病名」にまつわる英語表現を紹介します。

一筋縄ではいかない「病気」の英訳
皆さんは「病気」という日本語を聞いて、どのような英語を思い浮かべますか? おそらくほとんどの方が“disease”を思いつくのではないでしょうか? しかし、日本語の「病気」は非常に広い意味で使われているので、英訳するときには、その文脈に注意を払う必要があります。

例えば、「何か持病を持っていますか?」という日本語の場合、何も意識せずにこれを“Do you have any chronic disease?”としてしまう方が非常に多いのです。しかし、基本的に“disease”という単語は、医師に「診断」されて初めて使われる言葉です。患者さんが長年抱えている「腰痛」や「膝の痛み」などの症状は、必ずしも医師の診断を受けているわけではなく、これらは患者さんには“conditions”として自覚されます。従って、この場合の英訳は“Do you have any chronic conditions?”とする方が患者さんには自然に聞こえます。

また、風邪や中耳炎など、治療せずに治る場合のある「軽い病気」の場合、“ailment”という単語が使われます。このほかにも“illness”や“sickness”なども、日本語の「病気」として使うこともできますが、後者の場合、「病気」としてではなく、「吐き気」として使われることもありますので気をつけてくださいね。


気をつけたい“to diagnose”の使い方
「~病」という英語を表す場合、接尾辞(suffix)として“-osis”というものが使われます。これは「~が増加/増強した異常な状態」を表すsuffixで、“leukocytosis”(白血球増加症。白血球が増加した異常な状態)や “arteriosclerosis”(動脈硬化。動脈硬化が増強した異常な状態)として使われています。また、“-pathy”というsuffixは「病気」や「治療法」という意味で、“mastopathy”(乳腺)のように使われています。

このほか、「Aさんは早期の胃癌と診断された。」という日本語表現、皆さんならどう英訳しますか? 東京医科大学国際医学情報センターの J. P. バロン教授と R. ブルーヘルマンス准教授によると、日本人医師の多くが“to diagnose”という動詞を誤って使っているのだそうです。 お二人の今までの長年に渡る医師の英語論文校閲の経験から、実に多くの医師が“Mr. /Ms. A was diagnosed as having an early form of stomach cancer.”というように、目的語として患者などの「人」を使うのだそうです。しかしdiagnoseという動詞は「病名」を診断することはできても、「人」を診断することはできません。したがってこの場合、“Mr. /Ms. A’s condition was diagnosed as an early stage of stomach cancer.”というように、「病名」が診断されるべきなのです。

どうです? 何気なく使っている表現の中にも落とし穴があることがおわかりいただけたでしょうか? これからは「病気」や「診断」という簡単な表現でも、英訳する時には十分注意してくださいね。



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