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講師からのメッセージ:翻訳者には、論理的な思考力と視野の広さが必要です

写真:豊田憲子先生

原文を正確に理解するための
論理思考を養う

私たちが仕事で目にする実務系文書は、教科書に載っているようなきれいな英語で書かれたものばかりとは限りません。なかには、「本当は、こう書きたかったのでは?」と推測しながら、何を伝えようとしているのかを探っていかなければいけないケースも出てきます。その時に必要なのが論理的なモノの見方、考え方です。

私が担当している講座「実務基礎」では、原著者がどんな意図を持ってその言葉を選んだのかを文脈に沿って論理的に把握するための方法論を伝えることに力を入れています。実感として理解してもらうため、受講生による発表やディスカッションも積極的に採用しています。これを通して論理的でクリティカルな視点や思考法を身につければ、将来、どの分野の翻訳者になっても役立つと考えています。

写真:豊田憲子先生

訳文を自己検証するクセが
翻訳力の向上につながる

翻訳の勉強をする中で気をつけたいのは、正解・不正解で一喜一憂しないということ。特に私の授業では、課題の中にちょっとした“罠”を仕込んでおくことがあります。意地悪を目的としているわけではなく、初学者が間違いやすいポイントに気付いて欲しいという期待と願いを込めた罠です(笑)。

もちろん、罠をクリアするためのヒントも提示しますが、クリアしたとしてポイントを押さえていない「偶然」の正解では意味がありません。また、罠に落ちたからといってがっかりするのではなく、その原因を自分で理解し再発を防ぐことが本当の勉強です。自分の訳を検証する習慣をつけておくことは、プロになったときに訳語の論拠を常に明確にしておけるということにもつながります。

翻訳者の仕事には人としての総合力が表れる

実務翻訳者にとって最も大切なことは何でしょうか? 誤訳がないこと、簡潔で伝わりやすい文章を書くこと…これらは、あくまでも人並みの翻訳者のことです。私は、クライアントが置かれた立場を客観的に判断する目や、一つひとつの仕事に社会的な視点を持てるようになることが、末永く活躍できる実務翻訳者の条件だと考えています。

専門分野の知識を充実させることはもちろん必要ですが、その一方で書籍や新聞、雑誌、テレビ、マンガ、何でも構わないのでさまざまなものに触れることを心掛けてほしいですね。翻訳者にとって、無駄な教養は何一つありません。バランスのとれた知識や判断力、広い視野を養うことが大切なのです。人間としての総合力を高めることが、結果的に翻訳者としての成功につながるように思います。

写真:豊田憲子先生

豊田憲子 先生
Profile

大学卒業後、外資系企業の日本支社翻訳部に勤務。その後退職してフェロー・アカデミーに入学。現在はフリー翻訳者として金融・法律・医薬・ITなど、実務翻訳全般を手掛けながら同校の単科「実務基礎」、総合翻訳科「フリーランスコース」の講師を務めている。
※「実務基礎」3クラス(火曜昼・夜・土曜)のうち土曜クラスを担当。

 

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