翻訳ジャンル:実務翻訳 プロに必要な仕事環境「わたしのセレクト」

・取り扱い分野:IT、技術 ・取り扱い言語:英日 ・翻訳者としてのキャリア:26年

update:2016/08/01

高橋聡さん

※以下の各項目で、◎印は「購入を強く推奨する商品・サービス」、△印は「予算に余裕があれば購入したほうがいいと思う商品・サービス」を示します。

1.パソコン

  • まず大きいのは、WindowsかMacかの選択です。Macでも勉強・お仕事はできますが、業界で一般的なソフトウェアを使えない(=人の話を参考にできない)などの制限があるので、ここではあえてお奨めしません。
  • 次に、予算別の推奨スペックを列挙します。予算が10万円未満の場合:デスクトップまたはノート、Windows 64ビット、Core i5 CPU、8GB以上のメモリー、500GB以上のHDD。予算が10〜15万円以上の場合:デスクトップ、Windows 64ビット、Core i7 CPU、16GB以上のメモリー、22インチ以上のディスプレイ、256GB以上のSSD + 1TB以上のHDD。ちなみに、価格ドットコムで以上のスペックを条件に入力すると、該当機種がいろいろと出てきます。
推薦する理由
  • 短時間しかPCを使わないうちはノートでもOKですが、一定以上の時間PCに向かうようになるなら、姿勢などの点でデスクトップが理想的です。参考までに:「RSI対策ガイド」連載第5回
  • CPUにはi5とi7を挙げました(ともにIntel)が、リリース時期によりいろいろあって簡単に名前だけでは決まりません。PCのパフォーマンス、特にアプリケーションの体感的な動作速度は、CPU性能よりむしろメモリー容量とディスクドライブの種類ではっきり差が出ます。まず、メモリーは8GBが最小、できれば最初から16GBに増やしておくと、ほとんどの作業を快適にこなせます(したがって、必然的にWindowsは64ビット版に決まります)。
  • ディスクドライブは、作業データの保存だけならHDDでもかまいませんが、OSとアプリケーション、辞書はSSD上に載せると圧倒的に高速になります。グラフィック性能はそれほど求められませんが、いずれモニターを2面にできるように、マルチディスプレイに対応していることだけは確認しておきましょう。
  • ところで、富士通、NEC、SONYといった有名メーカーの製品を買っておけば安心、と思われるかもしれませんが、個人的にはあまり好きではありません。最初からたくさんのアプリケーションが入っていますが、そのほとんどが翻訳には無縁で、かえって邪魔(ディスク容量のむだ遣い)だからです。ASUS、LENOVOなどの海外メーカーや、ドスパラ、マウスコンピューターのようなショップ製品のほうが意外とスムーズに扱えます。
  • 最後に、「初めてPCを購入する」ときにいちばん必要なもの。それは「パソコンに詳しい知り合い」です。大型店舗の店員は、必ずしもPCに詳しいとは限りませんし、専門ショップだと、逆にこちらが詳しくないと話が通じません。「パソコンに詳しい知り合い」に付き合ってもらい、予算を告げて購入するのがいちばん確実です。どんな店舗でも安心ですし、場合によってはオンラインショップでカスタマイズしながら購入するときにも頼れます。

2.マウスやキーボード、モニター、外付けハードディスクなど
PC関連のアイテム

マウスとキーボードについては「好み」も大きいので、参考までに私の使用している製品を紹介するにとどめます。

推薦する理由
  • マウスもキーボードも、PCを買うとたいてい付いてきます。特に不自由・不満がなければ、そのまま使い続けてもいいでしょう。PCに向かう時間が増えてきて、どうも使いにくいと感じるようになったら買い足すようにします。どちらも、必ず「実際に触ってみてから」購入するのが鉄則です。マウスは有線か無線ですが、私はもっぱら有線。無線でイライラしたことがあるからです。重さ(私は重いのが好き)、クリックのしやすさ、機能を割り当てられるボタンの数などを考えてじっくり選びます。最近は、トラックボールも翻訳者の間で人気です。
  • もっと差が出るのがキーボード。翻訳者の間で人気なのは東プレの「リアルフォース」シリーズです。が、私はもっと重い(打鍵感のある)タッチが好みなので、上記の製品を選びました。
  • マウスもキーボードも、気に入った製品が生産終了になって手に入らなくなることも少なくありません。いったん気に入ったら複数購入してしまうという話もよく聞きます。
  • モニターは最初から22インチ以上ほしいところです。ゆくゆくはデュアルディスプレイにできるとさらに快適。
  • 外付けのハードディスクも、今は安価になりましたから、2TBくらいのものを最初から用意しておき、バックアップ用のアプリケーション(例:BunBackup)を使って定期的にバックアップをとるようにしましょう。

3.デジタル系アイテム(iPad、kindleなど)

  • 私が持っているのは、Kindle Voyageと、iPad Air 2、iPad mini 4。今なら、iPad Pro 9.7インチも選択肢になりそうです。
  • △ ポータブルバッテリーもあると安心。今なら、特にコストパフォーマンスの高いのがこれ
推薦する理由
  • 翻訳者に必携とは言いませんが、やはりタブレットはあると便利です。最大の理由は、iOS/Androidのアプリで(のみ)リリースされる辞書が増えていること。それから、原書や原文ファイルを寝転がって読めます。これは意外と大切(笑)。最近はWordも使えるので、自分の訳文の確認と簡単な修正にも使えます。出先でiPadから最終的な納品ファイルを送ったこともあります。なお、iPadでもAndroidタブレットでもいいのですが、Androidは「サポートされるOSのアップデートが意外と短い」、つまりちょっと古くなっただけでも最新のOSにできないことがあるという点に注意が必要です。
  • タブレットがあればKindleアプリも使えますが、純粋に読書が目的ならKindleはとにかく重宝します。今ならKindle Paperwhiteがいちばん手頃でしょう。

4.辞書

IT翻訳だからこれ、という辞書はありません(下の「推薦する理由」欄を参照)。

  • 『研究社 新英和大 第6版』と『研究社 新和英大 第5版』はやはり必須です。このデータを、LogoVistaの純正ブラウザではなく、EBWin4で使うと便利です。その後少しずつ、『リーダーズ3』、『ビジネス技術実用英語大辞典V5』、『日本語大シソーラス』などをそろえていくといいでしょう。
  • 英英辞典は、当面の間、オンラインでまかなえます。それもEBWin4に登録して使うことができます
  • ・学習英和辞典としては、『ウィズダム2』が推奨ですが、これは書籍版かアプリしかありません。
  • ・国語辞典は、まず1冊ということなら『明鏡国語辞典』がお奨め。
推薦する理由

5.翻訳支援ツール

  • 狭義の翻訳支援ツールなら、「翻訳者を目指す」段階で「購入したほうがよい」ツールはありません。広義の支援ツールなら、ATOKJust Right!5ATOK用の「共同通信社 記者ハンドブック辞書」をアドインで追加。テキストファイルを使いこなすための秀丸エディタと、いろいろなファイルを検索できるKwic Finderも優秀な「翻訳支援」ツールです。
推薦する理由
  • 「翻訳者を目指す」段階で、必ずしも翻訳支援ツールを導入する必要はありません。IT翻訳を目指すのであれば、「目指す」段階で習得しておけば、応募の際にプラス要素にはなりますが、肝心のトライアルに受かる実力が伴っていなければ、そのプラスも意味がありません。翻訳支援ツールを概念的に理解したい場合は、MemoQのトライアル版を試してみてください。
  • ATOKに「共同通信社 記者ハンドブック辞書」を入れると、表記の意識的な使い分けに役立ちます。Just Right!はかなり高価ですが、誤字や表記の揺れを減らす効果は絶大です。
  • 秀丸エディタを中心に、テキストファイルという概念を理解し、かつ高度な検索機能を使えるようになれば、真の意味で「翻訳を支援」してくれるツールになります。
  • テキストファイル、Wordファイル、PDFなど、ほぼどんな形式のファイルでも検索してくれるKwic Finderは、自分の過去の訳文や原文を検索するのに便利です。

6.周辺アイテム(椅子、マッサージ器具など)

推薦する理由
  • Moldexメテオは、遮音性が非常に高い耳栓です。家の中がにぎやかすぎるとか、喫茶店などで"外翻"するとき、だんぜん集中力が上がります。8個入り、10個入りなどいろいろなパッケージがあります。
  • ルルドマッサージクッション。どうしても長時間イスに座ることになるので、腰がきつくなってくるとお世話になります。
  • 仕事に欠かせないコーヒーを、冬場でも長時間熱く保っておくために保温マグは欠かせません。

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