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コミュニケーションスタイルと「対立」に対する姿勢

執筆 ロッシェル・カップ

世界を相手にビジネスを行うためには、英語力だけでなく、多様な文化を受け入れるためのグローバルマインドセット、つまり視野の広いもののとらえ方が必要となります。本コラムでは、経営コンサルタントのロッシェル・カップさんにグローバルマインドセット獲得のヒントを教えていただきます。

第3回 コミュニケーションスタイルと「対立」に対する姿勢

衝突を好むか回避するか

日本企業でメキシコ支店立ち上げの責任者になったあなたは、信頼できるサプライヤーを現地で確保するのに苦戦しています。備品を注文するために推薦されたオフィスサプライヤーを訪ねると、「お客さまが探されている製品は現在在庫がございませんが、明日になれば入荷すると思います」と言われることが頻繁にありました。しかしその翌日に出直してみても、たいてい在庫切れのまま。確実に製品を配達してもらえるようにプレッシャーをかけても、相手は「この件については後に話し合いましょう」、あるいは「他のマネージャーに聞いてみます」などと言うばかりで、直接的な返事は返ってきませんでした。このような場合、どのように対応すれば良いのでしょうか?

a)
もっと強くプレッシャーをかける
b)
そのサプライヤーはうそつきだと判断し、相手にしない
c)
そのような返事は間接的な「ノー」だと解釈する

日本では、サプライヤーは顧客に対して的確な情報を提供すべきだという考え方が強いです。そのため、外国人とのビジネスでこのような状況に直面すると、日本人はとてもいら立ってしまいます。その結果、a)かb)のような反応をしがちです。しかし、実はc)が正しいのです。

異文化間の大きな違いの一つに、コミュニケーションが挙げられます。このチャートの左にある文化は、直接的コミュニケーションを大切にする文化です。そのようなコミュニケーションスタイルを持つ文化の人は、問題を解決するためにはオープンに話した方が良いと思っています。また、意見が対立しても相手との人間関係には影響しないと思っています。なぜなら、意見の違いを明らかにすることが大切、と思っているからです。ディベートとディスカッションを好み、自分の意見を言うことをためらいません。

一方、このチャートの右側にある文化は衝突回避型で、間接的なコミュニケーションスタイルを持っています。意見の対立によって人間関係にひびが入るのを心配しているので、意見の違いを表に出したり相手が聞きたくないだろうと思われることを口にしたりすることに抵抗があります。そのため否定的なことを言うときには、オブラートに包んだソフトな言い方を好みます。自分の意見を全く言わないことも少なくありません。

自分かと相手文化の関係に注意する

このチャートで見られるように、日本人は世界規模ではかなり右の方に位置し、多くのほかの文化と比べると間接的なコミュニケーションを好みます。確かに、より直接的なコミュニケーションスタイルを持っている欧米諸国の人からは、「日本人ははっきり話さないので何を考えているのかよく分からない」という声を良く耳にします。そのため多くの日本人は、「外国人とコミュニケーションするときはもっとストレートに話すべきだ」と考えています。しかし実際のところ、それは相手がどの文化をバックグラウンドに持っているかによるのです。もし相手の文化がこのチャートで日本より右に位置していた場合、そのようなアプローチはうまくいきません。相手の文化に合わせた対応が必要なのです。

意外かもしれませんが、中南米や東南アジアの人から見ると、日本人のコミュニケーションスタイルは直接的過ぎるのです。また、日本人は一般的には間接的な話し方をしますが 、自分より目下の相手(例えばサプライヤー)に対してはかなり直接的に話す傾向があります。

間接的なコミュニケーションをする文化の人の特徴として、軋轢(あつれき)を嫌うため、相手の押しが強い場合は状況を和らげるために服従的な答えをするということが挙げられます。しかしそれを約束だと解釈してはいけません。間接的コミュニケーション文化の人に過剰なプレッシャーを与えると、 表面上は何も言わなくても心の中で恨みを感じ、非協力的になることが少なくありません。こういったコミュニケーションの違いから、間接的な文化圏でビジネスの問題を経験した欧米人、韓国人、そして日本人は多いはずです。

上記のケースにおける正しい対応はこれらの理由から、c)になるのです。間接的コミュニケーション文化の人とビジネスをする際は、相手の言うことだけではなく、言葉の裏にある真意を読み取ることが重要です。そうすることで、誤解や人間関係の問題を避け、スムーズなやり取りをすることができるでしょう。



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