2015.01.19 Mon

「教室は小さな地球」日本で日本語を教える仕事

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国内日本語教師

前回(真に国際的な職業「ネイティブ日本語教師」とは? )は、日本語教師の海外に活躍の舞台が広がる国際的な仕事としての魅力について紹介しました。今回は、国内での日本語教育についてご説明します。

以前、ある日本語の先生にインタビューしたとき、「教室は小さな地球」という言葉を教えてもらいました。国籍や肌の色や文化や宗教の異なった学習者たちが机を並べる教室で授業を進めていると、ふと小さな地球に語りかけているような気持ちになるんですよ、という話でした。

日本人の知らない日本語』というコミックがベストセラーになりましたが、教室では、さまざまな国から集まってきた学習者たちの思い込みや誤解が招く楽しいエピソードが次々と生まれてきます。中には、日本人としての「ものさし」では測れない場面に接することもあるかもしれません。国内にいながらにして、さまざまな国の「ものさし」があることを知り、刺激を受けて、自身も成長できる――。日本語教師という仕事の魅力の一つです。

ところで、「日本語教師の需要って、国内ではどうなの?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんね。東日本大震災の直後、一時的に学習者が激減しましたが、現在は回復し、ここ数年は日本語教師不足といった状況が続いています。さらに、今後は「人口減少社会」問題により、仕事の重要度の高まりが予想されます。

ここで、簡単に人口減少問題についてまとめてみますね。現在、約1.2億の日本の総人口は、35年後の2050年には約9,700万人にまで減少、既に人口の4分の1を占めている65歳以上人口は、2050年には4割にまで達すると試算されています。日本人の出生率の急激な回復が期待できない以上、労働力を維持するために、外国人の受け入れが進んでいくことが予想されます。

既に、2008年には、大学や日本語学校などの留学生数を2倍に増やし、留学後、日本で就職する外国人を増やそうという「留学生30万人計画」が政府より打ち出されています。昨年は、一部の外国人技能実習生の受け入れ期間を3年から5年へ延長したり、介護や家事支援のための受け入れを地域限定で認めたり、といった方針も定められました。外国人と共に働き、生活していく社会を迎えるにあたり、日本語教師が果たす役割は大きくなっていくと考えられます。

ここまで、日本語学校での話を中心に説明してきましたが、大学や専門学校、ビジネスパーソンへの個別指導、オンライン教育、外国人児童への支援教育、地域の日本語ボランティアなど、日本語教育の現場では、教えるスタイルも場所も多様化が進んでいます。これからの社会で果たす役割の大きさを考えると、まだ認知度も低く、待遇も十分ではありませんが、とてもやりがいのある職業です。

「でも、日本人なら日本語くらい簡単に教えられるでしょ?」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。私たち日本人は、母語として日本語を自然に身に付けていますが、外国語として日本語を学ぶのは大変です。

一例として、私たちは「切る」→「きってください」、「着る」→「きてください」と自然に活用できますよね。でも、なぜ、そうなるのか、説明できるでしょうか。日本語の学習者たちは、「切る」は五段活用(日本語教育では「1グループの動詞」と呼びます)、「着る」は一段活用(2グループの動詞)と分類することで、活用できるのです。

ちなみに、五段活用の動詞でも、全てが「~って」となるわけではなく、「話す」は「話して」、「書く」は「書いて」、「飲む」は「飲んで」と、この「て形」と呼ばれる文法の説明は意外と大変です。外国語として日本語を教えるときは、これらのルールを整理し、的確に指導しなければなりません。

……と書くと大変そうですが、語学に関心のある方にとって、「日本語」を外国語として見直す作業は、思いもよらない発見や気付きがたくさんあり、楽しいものです。英語などの外国語学習に関心がある方は、日本語教師になる適性は高いと思います。よろしければ、ぜひ日本語教育の世界をのぞいてみてください。

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Text:む~(アルク日本語事業部)

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